ウェイ系団体『ばなうた』


https://banauta.com/


ばなうたってなに?

ひきこもり、コミュ障、人見知り、メンヘラ、発達障害、無職、ニート、SNEPなど、社会に生きづらさを抱える人、友達がいない人、人生に思い悩む人を応援する、ちょっと変わったサークルです

HP上ではそう説明されていたが、色々見たところ例の団体に来ていた人間達と同類の臭いがした。
この団体をググると真偽不明な情報が幾つか出て来た。
それでも内情は想定通りで、本当の鬱病者やコミュ障が行くところではない様である。

 

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団体設立者インタビューアーカイブ

 

今回インタビューをさせて頂いたのは、高校時代に不登校を経験し、その後は早稲田大学に進学。大学時代はボランティア団体の代表を務め、現在は人材系のコンサルティング会社に勤務されていらっしゃる湯山秀平さん。理想の高校生活を送るために猛勉強をして学校に進学校に進学をしましたが、高校では不登校になってしまいました。前半では湯山さんが大学に進学するまでをインタビューさせて頂きました。

 

─小中学校は普通に楽しく学校生活を送っていた?

 

微妙なところで小学生時代は比較的楽しく通っていたんですが、中学校時代につまずいたことがありました。

 

中学校1年生までは学校が好きだったんですが、中学校2年生の時のクラスがすごく荒れたクラスでした。

 

当時は真面目で優等生キャラだったので、先生からも頼りにされるタイプでした。先生から「湯山、何で周りを注意しないんだ。」と注意しないことを注意されることがありました。

 

そういったこともあり、中学校2年から学校が嫌いになってしまいました。中学校の頃は学校に行かなくなったことはなかったんですが、「なんとなく、行きたくないなぁ。」という気持ちで2年間を過ごしました。

 

─優等生キャラで注意をするとイジメに合ったりしなかった?

 

実際には注意すくことが出来ませんでした。今思い返せば、先生としては、クラスをまとめて欲しいみたいな期待があったんだと思います。

 

─学校が嫌いになったの学校自体のイメージが悪くなった?

 

そうですね、学校という場所が嫌いになっていました。

 

─その後は高校受験をされて高校に?

 

そうですね。

 

─どういう高校に進学した?

 

県立の進学校でした。すごく自由な高校で制服がなかったり、校則もほとんどない感じでした。生徒が自分たちで自治組織みたいなものを作り運営をするみたいな学校でした。

 

─楽しそうな学校に感じるが…。

 

そこが自分にとって難しいところで、中学校時代が楽しくなかったので、高校にすごく理想を描いていました。

 

そのモチベーションで勉強を頑張って受験したので、高校生活に対する自分自身の期待が高くなりすぎてしまい、「何となく馴染めない」というちょっとした理由で学校に行きたくなくなってしまいました。

 

─例えば高校生活にどういう理想を描いていて現実はどうだった?

 

理想は、行事が盛んな学校なので、文化祭や体育祭などの行事を満喫しつつ、部活や勉強も頑張るという感じで描いていました。

 

現実は、学校自体は自分の描いていた理想ではあったんですが、いざその空間に放り込まれると、自分が楽しい中学校生活を送っていなかったこともあり、高校で楽しそうにしている周りの人たちに自然と距離を置いてしまい、冷めた目で見てしまっていました。

 

「みんなは楽しそうだけど楽しめていない自分」がいて、何となく学校に行きたくなくなっていきました。

 

思い描いていた理想があったんですが、いざその空間に自分がに入ってみたら合わなかった感じです。

 

─中学校時代に、実は見えない何かが溜まっていた?

 

そうだと思います。

 

その後、高校1年生の夏休みに生活が堕落してしまいました。学校に行きたくない気持ちを押し殺して、なんとか1学期を乗り越えて、夏休みに入った途端に昼夜逆転生活が始まりました。

 

そこから2学期に入っても家から出られなくなりました。

 

─その後はどのくらい学校に行かなかった?

 

そこから学校に戻ることはなく、約1年弱くらい引きこもり生活をしていました。

 

─その時は家で何をしていた?

 

家でパソコンをやったり、ゲームをやったり、DVDを見たりを繰り返していましたね。

 

─そのまま学校は辞めた?

 

そうですね、学校は辞めて勉強だけは自分でしようかなと思ってました。

 

─自分で勉強をし始めたのはいつから?

 

それがちょうど高校2年生の6月とか7月とかですかね。

 

─勉強を始めるきっかけは何かあった?

 

高校2年生の春くらいに親が「そろそろ何かしたら?」と進めてくれました。

 

進められた当初は、まだ家から出たいという気持ちはなかったので、ずっと同じような生活をしていたんですが、「徐々に外に出たい」という気持ちと「ここに居たい」という気持ちの両方を持てるようになりました。

 

その後、外に出たい気持ちの方が高まっていきました。

 

─親御さんは学校に行かなくなった時の反応はどんな感じだった?

 

うちの親は学校に行かなくなる前から、比較的放任主義だったので、良くも悪くもそんなに介入はされなかったですね。

 

─すごく理解力がある親御さんなんですね。

 

親に理解力があるのか、「話しかけるな」というオーラが出ていたのか…(笑)

 

理由はわからないですが「学校に行け」と言われたりしませんでした。

 

確かに親にはすごく助けられたかもしれないですね。

 

最終的に自分で選択させるまで待っていてくれて、もう一回勉強して大学に行こうと思う後押しをしてくれたので。

 

「勉強をしろ」と言われたら逆にしないタイプなので、親はそこもわかっていたかもしれないですね。

 

─その後は徐々に外に出始めた?

 

そうですね。高校2年生の夏ぐらいから、高卒業認定を取る専門のコースがある予備校に週1〜2回ずつ通い始めました。

 

高卒認定を取られたのがいつくらい?

 

勉強を初めて直ぐだったので高校2年生の夏くらいですね。

 

─そんなにすぐ取れるものなんですか?

 

実はそんなに難しくなくて、高校受験で勉強した蓄積がそこで活かされたというか…。

 

とりあえず高卒の資格を先に取り、そこからは予備校に通いつつ大学受験をしようかと考えていたので、勉強だけはちょっとずつしていた感じです。

 

─大学を目指そうと思ったきっかけは?

 

勉強が元々嫌いではなく、予備校を続けていて、他のみんなが高校3年生になるタイミングで浪人生が通うコースに入りました。

 

そこが毎日ずっと勉強をするコースで、久々に勉強が楽しいと思えたので大学を受験しようと思いました。

 

─勉強自体は好きだけど学校生活が苦手?

 

本質的にはそうだと思います。

 

─そこで勉強をされて大学は無事に受かった?

 

そうですね。高校3年生の1年間で、今までの分を取り戻さなくてはと思い、毎日16時間くらい勉強をしていました。

 

今考えればよく出来たなと思うんですが、引きこもっていて何もしていなかった分、沈んだ勢いでジャンプ出来たのかなと思います。

 

─どこ大学に進学を?

 

早稲田大学商学部に進学をしました。

 

受験ロスからの不登校

 

真面目で頑張りすぎてしまうからこそ、受験が終わった後に受験ロスから不登校になる子は多いように感じます。大人と違いバランスが取りにくく、頑張りすぎてしまう子供たちに、学校に行けなくなってしまった後に、話し相手でもいいのでサポート出来る友達や家族の支えは大切だなと実感しました。

 

 

1年間引きこもっていたからこそ無我夢中で勉強が出来て、早稲田大学に進学することが湯山さん。その後はどのような心境の変化があったのでしょうか。後編では引きこもった経験があったからこそ見えてきたものをインタビューさせていただきました。

 

─大学生活は楽しく過ごせた?

 

4年間トータルで考えたら、楽しかったのは楽しかったんですが、中高時代の自分が出そうになることは何度かありました。

 

─それは行きたくなくなるみたいな感じ?

 

そうですね、オンオフが激しい人間だなというのがわかったので、0になりそうなことは何回かありました。

 

─大学時代にそれがうまく調節出来るようになった?

 

なりましたね。中高の時はそれに気付くことが出来ず、高校時代で電池が切れたようにオフになってしまったんですが、大学に入り電池がなくなる前に、自分で気づけるようになりました。

 

完璧主義じゃないですけど、0か100のどっちかみないな感じなんで、受験勉強は100で頑張ったんので、受験勉強が終わった後に一回0になっちゃったんですよね。

 

大学1年の春から夏にかけては、「これはまずいな」という感覚がありましたね。

 

サークルにも春からは入れなかったんです。また高校時代と同じで、なんかワイワイしていて嫌だなみたいな。

 

その後、たまたま大学の1年生の冬にやりたいことが見つかり、そこから2〜3年間はそれをやっていた感じです。

 

─やりたいことが見つかったきっかけとかはあった?

 

東北の復興支援のボランティアに大学のプログラムで行かせてもらって、そこでボランティアって人と出逢いがあって楽しいなと感じ始めたのがきっかけです。

 

その後、マレーシアで教育支援をやっているボランティアに携わりました。

 

─それは具体的にはどういうことをされたんですか?

 

色んな年齢の子供たちに授業形式で英語や算数を教えたりしていました。そこから大学時代は就活までボランティア漬けの生活をしていました。

 

─教育系のご職業に就きたいなとは思わなかった?

 

ボランティアをやってみてダイレクトに子供たちに教えること自体には興味がないなということに気付いたんです。けれども、人の成長とか人が頑張るのを後押しするのは面白いなと感じで、人事系のコンサルティング会社ならそれに近いことが出来るのかなと思い就職をしました。

 

大学時代が学生の時で一番楽しかったかなというのがあります。やりたいことも出来たし、頑張りたい時に頑張れた感じです,

 

─社会人になったばっかりだと思うんですが、もう大丈夫?

 

そうですね、きつい時はきついんですが、まずなと思った時に気づけるのでどういう対処をしたら良いのかというのが何となく自分でわかってきました。

 

─因みにまずいなと思った時にはどのような対処を?

 

休み時は休むか、人と会うと元気が出たりするので、会いたい人に会うというのは大きいかもしれないですね。

 

─人と会うと元気が出るんですね。

 

自分の中からモチベーションが上げられないタイプだなと気付いたので、外から与えてもらう環境を作るのが自分にとって合っているのかなということに気付きました。

 

─今やられているお仕事というのが「人の成長を助ける」ということですが、それとご自身が引きこもっていた経験で繋がる部分はありますか?

 

あまり成長という言葉が実は好きではないんですが、ポジティブな経験だけが人を成長させるということではないという事を身をもって体験したので、そこへの意識は大きいかなと思います。

 

高校を辞めるまでは人生はずっとプラスであり続けたいと思っていたんです。いかにマイナスになることを避けるかみたいな。

 

マイナスががるからこそプラスがより大きく感じれるんだなというのを実感出来ました。

 

心に闇じゃないですけど、そういうものは誰しも持っているんじゃないかという気付きは大きかったです。

 

明るそうに人生何もなく送っていそうな人も実はそういう面もあって、自分がそういう経験をしたからこそ、そこに配慮してあげたいなと思えました。

 

ボランティアの団体で代表をやっていたんですが、その時もそういう意識は活かされたかなと思います。

 

─明るく見える人でも心に闇があるということに気付いたきっかけはあるんですか?

 

それは自分自身への振り返りが大きくて、自分は優等生であるということを自分自身でもそうですが、周りからも植え付けられた中学時代でした。

 

でも、実はそうでないということに自分で気づけたので、周りの人もそうかもしれないと推し量れるようになったのかもしれません。

 

─引きこもっていた期間というのは人として成長するのに欠かせない期間だったんですね。

 

たぶんそうだと思います。何年か経った後にやっとそれに気付けました。

 

社会的マイノリティーを抱えている人たちを支援している大学教授にお会いして、その方が僕のことを理解してくださったんです。

 

その方にすごく影響を受けました。引きこもってたり高校を辞めた経験も、ここ半年くらいになるまで人に話せなかったので。

 

それが徐々に話せるようになったというのも大きいです。これまでは弱い自分を認めたくなかったんですが、それがやっと最近変わってきたなと思います。

 

高校辞めたり引きこもってからは、自分や世間の敷いたレールから外れることに恐怖を感じなくなりました。それはすごく大きくて、楽になることが出来ました。

 

周りは就職活動で大企業などに行く人が多い中で、本当に自分のやりたいことをやらせてくれそうな会社を選べているというのはラッキーだと思います。

 

これに気付けたのは高校辞めて良かったかなと思います。虚勢を張らなくて良いし、世間の目を気にしなくなったし。

 

大学4年生の時に今までの経験を大学でプレゼンする機会があり、その時に一番伝えたかったのは「過去は変えられる」ということです。逆説的ですが、過去は変えられないんですが、自分の捉え方や今の自分を作っているという意味では変えられるのかなということにプレゼンを作っていて気付きました。

 

─今悩んでる子たちに何かメッセージは?

 

一番伝えたいのは、自分だけじゃないんだよというのがあります。その時は自分でもわからなかったんですが、そこに少しでも早く気付ければ楽になるのかなと思います。

 

周りもそういうサポートをぜひしてあげたいなと思います。引きこもってた時にすごく難しかったのが、自分だけじゃないと思いつつも、自分だけだと思いたい時があって。

 

「だけじゃない」と思うと人って楽になるじゃないですか?でも「こんなに苦しんでるのは自分だけだ」と思うことで楽になることがありました。

 

─自分だけだと思いたいとはどういうこと?

 

苦しんでる自分を守るというか、自分と同じ同系列で悩んでいるという括りにされたくなかったんです。両方の気持ちがあって、それがしんどかったですね。

 

─自分を認めるのが一番難しかったりしますよね。

 

たぶんそうだと思います。「これでいいんだ」という感覚になれなかったというか。「このままじゃダメなんだ」という感覚と「ここにずっといたい」という間で戦っていた感じですね。

 

─そういう気持ちの時はどうすれば良いと思いますか?

 

時間が解決するじゃないですが、焦らないことはすごく大事かなと思います。

 

自分で無理矢理頑張ろうとしても駄目だと思いますし、周りが無理矢理学校に行かせるのはもちろん駄目だと思いますし、自然と自分の中で整理がついてくる時間があって、それって人によって違ってくる。

 

10年掛かってしまう人もいると思うし、僕はたまたま運良く1年だったんですが、それが長い短いで良い悪いはないと思うので。

 

過去は変えられる

 

どんな経験でも捉え方次第で過去は変えられるという言葉が印象に残りました。そこに本当の意味で気付けた人こそ、バネにして跳ね上がることが出来るのかもしれません。

 

<湯山秀平>

 

高校時代に不登校を経験。高校中退後、高卒認定試験を経て早稲田大学商学部に進学。マレーシアの移民問題や教育問題に取り組む団体の代表などを経験。現在は組織・人事領域を専門とするコンサルティング会社に勤務。

オフ会完結編:例の団体『Graduce』消滅

2019年9月4日朝9時頃、例の団体のTwitter等をいつも通り巡回しようとしたところ、例の団体がTwitterからFacebook、ホームページ、アメブロ、activo等のボランティアサイトに至るまで痕跡を全て削除していたことが発覚した。
尚、団員のTwitter個人アカウントは残っており、また、亜種団体に関しても平常運転している。
例の団体のものだけが前触れも無く消え失せた様である。

▼過去のオフ会

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例の団体は2016年8月に設立され、オフ会は全部で16回開いた。
例の団体が最後にオフ会を開催したのは確か5月頃である。
オフ会のタイトルは『「自分を大切にする方法」を探してみよう』であった筈だ。
しかし、ホームページにはそれが掲載されていない。
そして、第14回と第15回の日付が同じになっている。
正しくは第15回は3月頃に開催していた。
これらは前から疑問に思っていたことだったが、それが解消されることはもうないようだ。

更に団員個人のブログ等を調べたところ、団員の1人のプロフィールから正確な解散時期が判明した。

やはり最後にオフ会が実施された5月で終わっていたらしい。

 

▼団員《ありちゃん》のプロフィール

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団員に関しては、最初は団体設立者から始まり、次に司会団員とバス団員の2人が加入した。
この3人が最初から最後まで団体にいた中核であるが、彼らが何かしら団体を解散せざるを得ない状況に陥ったと考えられる。
例の団体のホームページにはかつて団員の自己紹介ページが存在したが、いつの間にか消え去っていたのは団体が解散する兆候だったのかもしれない。

▼過去に所属中であることが判明していた団員(2019,1/27アーカイブ)

 

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過去に会った団員の名称を纏めた。

団体設立者《しゅう/湯山秀平》
司会団員《しょうた/高城ショウタ》
保育士団員《ゆーきゃん/酒井》
バス団員《かよ/江畑佳代》
顔似団員《けんちゃん/川島》
第2大学生団員《ようちゃん》
???《だいちゃん/ダイキ》
対面団員《ゆっこ》
ギャル団員《まりまり/楠マリナ》
既女団員《ありちゃん》(@al_onu88)
自撮り団員《kazuma
第3大学生団員《まなみ(ん)》

入団順にすると次の様になる。

団体設立者

[団体設立]2016,8

司会団員、バス団員、対面団員

大学生団員、???(オフ会Ⅰで唯一不参加の団員)

[オフ会Ⅰ]2017,8/11

保育士参加者、顔似団員

ギャル団員

[オフ会Ⅱ]2018,1/27

入口錯誤団員、最年長団員、???(20代後半団員)

第2大学生団員

[オフ会Ⅲ]2018,7/21

既女団員、自撮り団員

[オフ会IV]2018,11/17

第3大学生団員

 

オフ会番外編:例の団体亜種『ReOPA』


https://ameblo.jp/graduce/entry-12450140550.html

いつも通り例の団体のブログを監視していると、似た様な団体がインタビューを受けていた。
例の団体の亜種…亜種団体と呼ぶことにした。
亜種団体の正式名称は『ReOPA』。
ググるとやはりレオパレスが出て来るこの亜種団体は、例の団体と同じ所謂自助グループという位置付けのグループであるらしい。
例の団体と同じホームページサイト、FacebookTwitterが存在しているようだ。


ReOPAは、うつ病うつ状態で苦しんでいる方、生きづらさを感じている方に寄り添う自助グループです。

主に東京で活動しています。

ReOPAは、うつ病うつ状態で苦しんでいる方、生きづらさを感じている方が

Re:休息(Rest) 安心して休んで

O:機会(Opportunities) 回復へのきっかけをつかみ

P:準備(Preparation) 次へ向けての準備をして

A:行動(Action) そして実際に一歩を踏み出して歩き出せるように

という思いから活動を始めました。

当事者に寄り添う様々な活動をしています。

この亜種団体自体が設立されたのは2018年であり、例の団体の2年後に出来たものであるらしい。
尤もインタビュー記事を見たところ、この亜種団体の前身となったグループが2012年頃から存在しているようである。
その為か、Twitterのフォロー/フォロワー数に関しては亜種団体の方が非常に多い。
見たところ活動内容は2つとも同様であるようだ。
即ち、亜種団体も例の団体と同じ様にして特定の場所に集まってテーマを決めて話し合うということをしているらしい。
相違点は亜種団体は参加費が掛かることである。
界隈の事情はよく知らないので実際にどちらの方が有名なのかは不明である。
否…どちらが有名かというよりかは、どちらもマイナーなのだ。
『ReOPA ブログ』と検索しても別のブログが出て来るし、『ReOPA 2ch』と検索してもレオパレスが出て来て、幾らググっても彼らの活動に参加した感想等を書いた文章は出て来ない。
その為、参加したことがない人間からすると実情がいまいち分からない。
そうか、誰もやらないなら俺が書き残してやろう。
そう思い立ちわざわざ作ったブログがこれである。
マイナー過ぎる団体である上に詳しく調べる人間もあまりいない故に、存在意義が殆ど無いブログである…と思っていた。
先日ブログにコメントが付いていたことに気付いた。
このブログを見る人間がいるとは…。
気になって試しにアクセス解析をしてみると、殆どの日のアクセス数は0か1だが一日だけ異様にアクセス数が多い日があった。
その日は自分は訪れていない。
7ものアクセス数。
例の団体の団員数は10人前後。
お察し下さいということだ。
それはともかく、大体実情はブログに書いてある通りなので面白いと思ったら試しに行ってみるが吉。
そこに目付きが異様に悪くて寡黙な奴がいたら俺だと思ってよい。

 

 


最近は例の団体は活動していないらしく、5月頃からブログ・Twitter共に更新されていない。
その代わりと言っては何だが、先述の亜種団体の開催するオフ会に赴いてみることにした。
その前にいつも通り情報収集を行った。
例の団体はオフ会を年に3,4回開催するが、亜種団体は毎月開催しているらしい。
それに加え亜種団体はヨガや女子会等も毎月の様に実施している。
活動頻度は亜種団体の方が圧倒的に多い様だ。
例の団体の方も今年になってから女子会を取り入れ始めたが、やはり開催回数は少ない。
毎回思うことだが、女子会はあるのに男子会はないのか。
彼らは自助グループ等と謳う割には息をする様に差別を行うのだ。
亜種団体はブログはやっていない様だが、Twitterでは頻繁に呟いている様である。
例の団体はTwitterをオフ会の広告かリツイートにしか使っていないが、亜種団体は自ら多くのツイートをしている。


ReOPA〜うつ病当事者向け自助グループ

@reopakokoro

【ReOPAは、うつ病うつ状態で苦しんでる方、生きづらさを感じる方に寄り添う自助グループです】 Rest 休息 Opportunity きっかけ Preparation 準備 Action 行動 が社会復帰に向けて必要な事だと考えています。 活動など、ゆっくりとご報告していきます。 #うつ病 #あるある 呟いてます

鬱病あるあるを呟いているらしい。
見たところ根底の思想は例の団体と似た臭いがする。
誰が書いているのかは知らないが、リツイートをしない辺り例の団体よりは芯はあるのか。
いや…これは自動でツイートをするタイプの奴か。
因みに例の団体の構成員らしき人間のTwitterは殆どが自称病み垢のリツイートで埋まっている。
これ見よがしのツイートにふぁぼとリツイートの嵐。
基本的に自助グループもこれらと同じ馴れ合いコミュニティにしか見えない。
本当に鬱の人間は何もする余裕がなくなるということを彼らは知っているのだろうか。
服薬自慢や不幸自慢をしたりして気を紛らわすことが出来ずに負のスパイラルで鬱憤が溜まるだけ。
自分が本当に取り返しがつかない状態にいることすら自覚しない。
自分から病院に行こうとか人に相談しようとか自己保身しようと考えられる内はまだ救いようがあるということだ。

 

 

 


オフ会の流れはどうなっているのかホームページで今一度確認する。


<どんなふうにやっているの?>

 まず入り口で受け付けをします。

300円を用意しておきましょう。

ニックネームを決め、受付表に記載します。

参加費を払い、ネームカードを付けましょう。

 好きな席に座ります。飲み物など自由にお取り下さい。

 各テーブルごと、進行役のスタッフが進めていきます。

まず簡単な自己紹介をします。

 参加した皆さんから聞いてみたいこと、話し合いたいことを挙げてもらい、それを基にいくつかテーマを決めます。

 テーマに沿って皆さんで話し合いをします。(すべてのテーマを扱えない場合があります。)

 休憩が2回ほどあります。

(休憩以外でも自由に出入りしていただいて構いません。途中退出もOKです。ご自身のペースで。)    

 アンケートを書いて終了♪

 おつかれさまでした。

参加する上での注意事項も幾つか書いてあった。


<お願いしたいこと>

皆さんが安心して話せる場になるように、いくつかお願いしたいことがあります。

ご理解いただきますようよろしくお願いいたします

一応読んでおくことにした。


☆会では様々な体験が語られますが、あくまでも「その方の体験」ですので、

全ての方に当てはまるわけではありません。

ご自分になじむ話があれば生活に取り入れ、それ以外に関してはこの場に置いていきましょう。

常識的な内容のものが多い。
だが、1つだけ目に留まった項目があった。


☆他の方の話を評価・批判したり、自分の意見や体験を押し付けたりするような発言はしないようにしましょう

…なるほど、だから例の団体もあんな感じになるのか。
賛同だけで批判はしてはいけないという暗黙の了解の雰囲気。
だから一向に治らないし変わらないのではないのか?
鬱病者の特徴として、自分に都合の良い情報しか取り入れないという習性がある。
彼らはそれに配慮しているらしい。
余計なお世話だと言いたいところだが、亜種団体のグループ説明を見直した時にその理由ははっきりした。


ReOPAは、うつ病うつ状態で苦しんでる方、生きづらさを感じる方に寄り添う自助グループです

”寄り添う”だけで、矯正することが目的ではないらしい。
それはそれで問題があると思うが。
賛同意見だけだと只でさえ強い鬱病者の固定観念は更に強くなり、それ以外の考えは有り得ないと底なし沼の様に嵌って抜け出せなくなる。
彼らは当然そんなことは考えもしないのだろう。
彼らの様にぬるま湯に浸かりながら徐々に傷を塞いでいくというのが普通の治し方であるのだ。

 

 

 


オフ会当日。
事前予約は必要無く、直接会場に行けば良いらしい。
12:00発の電車に乗り、13:20頃に四ツ谷三丁目に到着する。
四ツ谷ひろばという建物に入る。
割と他にも人がいる。
1階のトイレに寄ってから案内板を見つつ階段を2回上がった。
目的の部屋のすぐ傍の廊下に人が立っているのが見えた。
亜種団体の団員らしい。
中に入ると名簿表にニックネームと住所を書かされ、参加費300円を払った。
受付から名札シールを貰い、適当な席に着席した。
例の団体とは異なり自由席である。
大きな机の固まりは3つある。
最大3グループに分かれて話し合うことになる様だ。
開始時刻の14時に近付くに連れ人間は増えていくが、その面子は例の団体とは違う大きな特徴があった。
殆どが40-50代っぽい人間。
言い換えるとおっさんとおばさんしかいない。
中には還暦を迎えたっぽい爺さんもいる。
1番若そうな人間は俺。
というよりかは、俺と同年代の人間が見当たらない。
受付をやっている亜種団体の女くらいしか若そうな奴はいない。
20-30代中心の例の団体のオフ会で1人だけおっさんが来ていた時があったが、その時とは逆の状況である。
ふと近くに座っていたおばさん達が亜種団体の女子会の話をしていた。
この状況から薄々感づいてはいたが、この亜種団体の女子会も”女子”会ではないようだ。
開始時刻の14時を過ぎた後も途中参加者は何人も来ていた。
例の団体の様に事前申請制ではないのだ。
それにしても1テーブルに10人以上の人間が座っているので窮屈だ。
例の団体のオフ会は人数制限があり一般参加者は10人程度に限られているのでこんなことにはならない。
各々のテーブルに亜種団員が1人配置された。
まず最初にオフ会の注意事項が読み上げられた。
次に各テーブル内で順に自己紹介をすることになった。
例の団体とは異なり別テーブルも含めて全体で自己紹介したりはしないらしい。
するにしても人数が多過ぎるからやらないのか。
多くの人間が自己紹介で病名を言った。
双極性障害の人間が多い。
全体の半分くらいは双極性障害である。
既婚者もいた…というか夫婦で来ている奴らがいた。
統合失調症で障害者枠で勤めていた奴もいた。
転職活動中の奴もいた。
無職の奴もいた。

Twitter見たらグサグサ刺さって~」

近くのおばさんが自己紹介で参加した経緯を説明した。
刺さるのか…あんな如何にもなツイートの数々が。
話し合いは自己紹介後に早速始まった。
例の団体の様な話し合う前のアイスブレイクやシンキングタイムすらなく、本題がいきなり始まった。
オフ会の流れは、自由に誰かがテーマを提案して、それについて各々語っていくというものである様だ。
例の団体の様に事前に1つの話題に絞ったりはしていないらしく、話題が次から次へと移るので深く考える時間がない。
そしてやはり思うことだが、1テーブルの人数が多いのでコミュ障の奴は話せないだろう。
その点では例の団体も少ないとは言えないが、亜種団体の様に無秩序に参加者が集くようなシステムではないので安心は出来る。

そろそろどんな内容の話題があったかここで書いておく。
話題は10個弱程上がったが、幾つか詳細を書き下す。
1つは鬱病のカミングアウトについてという話題があった。
何処まで誰に自分のことを打ち明けるか、というものであった。
全員それなりに悩んでいるらしい。
話すか悩む相手がいるなんて贅沢な悩みだな。
最後に俺の順番が回ってきた。
俺はカミングアウトする人間がいないと言った。
同テーブルの亜種女団員はそれに返答する。

「友達とかは…」

友達はいないと言った。

「家族は…」

家族がその原因だと言った。
そうなんですかと言われる。
特に他に誰からのコメントもなく、そのまま次の話題へ移行した。
…これで終わりかよ。
何も解決してねえじゃねえか。
亜種団体のオフ会注意事項にこんな項目もあったが。


☆限られた時間でのミーティングですので、長い時間を使ってのお話はご遠慮ください。他の方の時間も大切に。

他の参加者も長々と語ったあとに「長く語り過ぎてすいません…」とは言っていた。
例の団体の様に各々の人間に時間配分が決められていないので、各々が語り終える時間を見極める必要があるのだ。
尤も俺はそのレベルではなく、語り始めて20秒くらいで終わった…というよりかは終わらせられた。
座席配置も話題転換も時間配分も雑なのはまだいいが、この扱い方は流石に雑過ぎるのではないか。
だが何よりも気になったことは、問題に対する解決策が明確に提示されないまま次の話題に行くことだ。
例の団体は1つの問題に対する考えの共有→それに対する対処法や解決法の提案と流れを決めているので、亜種団体よりかは有意義な話し合いにはなっていたのだ。
もう1つの話題は薬についての話題だった。
最初に亜種女団員が薬をやっている人間に挙手を求めた。
俺以外の殆ど全員が手を挙げた。
マジかよ。
例の団体よりは深刻度が高い奴が多いとは思ってはいたが…想像以上だ。
だが彼らはやはり普通にはきはきと喋るし、普通に家族も友達もいる。
表面上はそこら辺にいるおっさんやおばさんと変わらない。
こういう奴らが精神障害者として障害者枠で働いたりするんだろう。
俺の様にまともにコミュニケーションが取れないレベルの人間では障害者枠ですら勤まらないのだ。
俺も1つだけ話題を挙げた。
鬱病を治す方法、そして向き合い方という話題である。
何かに依存しなければ生きられないと1人が言った。
だから鬱病は甘えだとか言われるのだ。

途中休憩は2回あり、16:45までオフ会は続いたが、俺が話すことは殆ど無かった。

 

 

 


今回も俺は殆ど話さずに終わった。
参加費無料の例の団体でならいいが、今回ばかりは交通費に加え参加費を使っているのでそれに見合った有益な情報が欲しい。
このまま会場に残れば団員が相手にしてくれるだろうか。
そう思い俺は最後まで残ることにした。
テーブルや椅子を元に位置に戻すと、参加者達は次々と帰って行った。
それらを眺める振りをしていると誰かに話し掛けられた。

「参加は何回目ですか?」

先程同じテーブルにいたと思われる一般参加者だった。
参加は初めてだと言った。
この亜種団体のオフ会は例の団体とは異なり複数回参加者がそれなりにいるらしい。
その一般参加者はまた次会ってお話出来たら、と言って去って行った。
最後にいい人に会った。
しかし不完全燃焼感はまだ拭えない。
俺はそのまま部屋の隅でスマホを弄ることにした。
やがて一般参加者は誰も居なくなり、亜種団員達と俺だけになった。
先程まで人が多過ぎたので分からなかったが、亜種団員は8人位いた様だ。
暫くした後、ようやく1人の亜種団員が未だ部屋に居座る俺の存在を咎めに来た。

「参加者ですか?」

亜種団員はそれだけ訊くと俺に部屋から出て行くように催促した。
亜種団員達に別れの挨拶を言われながら俺は部屋を出た。
部屋の扉は閉められる。
畢竟何も聞き出すことは出来なかった。
例の団体の団員達の方が良い意味でも悪い意味でもフレンドリーであるようだ。
亜種団員は最後まで只の受付や進行役という印象しか抱けず、彼らがどんな人間なのかすら分からずに終了した。
例の団体はオフ会開始前や終了後も参加者達と絡み、積極的なコミュニケーションを図ってくる。
煩わしいと思っていたが、今一度その意味を考え直した。

今回の亜種団体のオフ会を通して気付いたことがある。
俺は今まで例の団体について何だかんだ言っていたが、実は例の団体のことは嫌いではなく、それなりに気に入っていたらしい。

 

 

 


今回の出来事を金と時間の浪費にしない為にも、俺は文章を書いた。
俺の様にこの団体のことをよく知らない被害者がまた出ない様に。
例の団体『Graduce』と亜種団体『ReOPA』の違いはこれまでに書いた。
どちらに行くかは各々の好みであるが、大きな違いをここで書いておく。
例の団体は10-30代の若者が集まるが、亜種団体は若くても30代か40代で中年の人間しかいない。
おっさんや俺の様に浮きたくなければ自分の年代にあった場所に行った方が良い。
そして、亜種団体で行われている話し合いは単なる意見の共有だけであるので、それ以上のことを求めることは出来ない。
解決策まできちんと話し合いたい場合は例の団体に行くべし。

今回の亜種団体オフ会で知れたことはもう1つある。
例の団体はオフ会に参加する人のことをよく考えていたらしい。
参加費無料、少人数制、各々に均等に分け与えられる時間、団員達の親切なフォロー。
規模や知名度で言ったら亜種団体の方が優れているのだろうが、個人的には例の団体の方が丁寧で好感が持てた。

無沙汰をしているしまた行ってみてもいいだろう。

オフ会Ⅲ:試験前編

2018年7月6日朝、気紛れで例の団体のブログを見ていたら昨晩に投稿されたばかりのオフ会最多参加者へのインタビュー記事を発見した。


https://ameblo.jp/graduce/entry-12388759927.html

俺より多く参加している暇人が居たのか。
インタビュアーの団員は司会団員とバス団員であろうか。
記事を読んでいると或る文章が目に留まった。

『3~4年前、仕事が忙しく人生の意味が分からなくなっていたんですよ。“なんで自分は生きているのだろう。自分は何をやっているのだろう。”と無気力になっていました。同時に“このままでいいのか。このような状態が続くのは耐えられない。自分の幸せって何だろう。”と人生の意味を探していて』

畢竟他の団員達と同様な考え方であった。
やはりこの種のオフ会に集く人間は似た様なものなのであろう。
身体障害者でも精神障害者でも何でもない、普通に生活出来る程度には支障の無い人生を送っている人間が余裕を持て余して生きる意味や幸せについて考えているのだ。
そして俺はあいつの言葉を思い出す。
脳に焼き付いて離れない、永久に忘れられない言葉。
何時までも俺の思考回路を支配し続ける、一人の中学生が言い放った言葉。
このインタビューされた人間が何を考えていたのか知る由がない。
尤も、インタビューされた人間は不幸だった。
只それだけのことである。
幸せとは主観的で、そして一時的なものである。
幸せを掴んでその後も幸せで在り続ければ、その内更なる幸せを求める様になる。
『それ以上の幸せ』を知っているから。
だからこそ「幸せになる」というのは間違っている。
上昇志向は勝手なことだが上が在ることを理由に現状を不幸だと感じるのは実に馬鹿げたことであるのだ。




例の団体から事前確認のメールが来た。


お世話になっております、


この度は、7/21(土)開催のワークショップ、
少し気楽に「自分らしさ」から「生きやすさ」を眺める
にご応募いただきありがとうございます!

当日に関する最終確認のため、ご連絡を差し上げました。


★ご都合悪くなりご欠席の場合★

再度こちらのメールへ7月19日までにご欠席のご連絡を願いいたします。


_________

☆少し気楽に「自分らしさ」から「生きやすさ」を眺める☆

☆日時☆
7/21(土)13:30~16:30
(当日は13:20を目処に下記会議室にお越しください。また、当日の進行状況によって終了時間が前後する場合がございます。)


☆開催場所☆
台場区民センター 第1集会室

☆最寄駅:ゆりかもめお台場海浜公園駅」徒歩3分

(東京都港区台場1-5-1台場コミュニティーぷらざ内)



☆タイムテーブル☆

13:30~13:50 Graduce説明・WS説明
13:50~14:20 自己紹介・アイスブレイク
14:20~14:35 シート記入(ポジティブ・ネガティブ)
14:35~15:00 ポジティブな話の共有
15:00~15:25 ネガティブな話の共有
15:25~15:35 休憩
15:35~15:50 シート記入(「自分らしさ」・「生きやすさ」)
15:50~16:20 「自分らしさ」と「生きやすさ」の共有
16:20~16:30 感想



☆内容詳細☆

最初に「ポジティブな話題」と「ネガティブな話題」をグループごとに共有し、その後「理想的な自分」や「目標とする自分」などの「自分らしさ」についてお互いの考えを話し合います。
最後に「自分らしさ」の話し合いを踏まえて「理想的な生活スタイル」や「近い将来に実現したいこと」などの「生きやすさ」についてお互いの考えを話し合います。



又、当日は活動記録としてワークショップの様子の

写真を撮らせていただきたいと思っております。

お顔が映らないようにいたしますが、

ホームページへの記載が難しい場合はご連絡ください。



ご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
お会いできることを楽しみにしております。

メールの差出人はバス団員である。
どうやら今回はこの人も参加するらしい。

7/20(金)。
今日は生物工学も休講であり、実験も終了しているので学校がない。
昨日は北海道東日本フリーパスを購入した後碌なことをせずに寝ていたのでそろそろ試験勉強を進めなければならない。
こんな文章を書いている今(7/20,13:46)もそんな暇はないのだが。
9時過ぎに起床した後、風呂にも入らず図書館に行き生化学の本を物色し、ヤオコーでアイスを買って家に帰り、ISLANDのアニメを見ただけである。
明日は例の団体のオフ会であった。
試験期間前にも関わらずそんなものを入れる程度の余裕があるのか自分に問い質す。
最近はそんなことよりも早く北海道に行きたいという感情しか沸かないのだ。
それまでは勉強も例の団体も全て二の次であるのだ。
例の団体の現状をいつも通り確認してみることにした。
俺は普段も時々思い立って例の団体のアメブロやホームページを閲覧している。
立ち上がったばかりであるらしいこの例の団体『Graduce』は昨年迄は数人程度の規模であったが、最近では人数の規模を増やしつつある。
現在団員数は11人であるとホームページに記載されている。
例の団体はこの様に20台前半から30台後半までの男女から構成されている。
現在女5人、男6人。
女団員は全員20台前半。
バス団員、対面団員、ギャル団員、保育士団員等が居る。
男団員は20台前半2人、20台後半2人、30台前半1人、30台後半1人。
20台前半は団体設立者ともう1人顔だけ見たことのある団員。
30台前半は司会団員。
20台後半と30台後半の奴らはこの前の新入団員3人であろう。
20台後半2人は未だ詳細不明であるが、30台後半の1人は最年長団員であることが分かっている。
この団体は頻繁に団員募集の広告を出している通り、割と入れ替わりが激しい。
その為今誰が居るのかは詳細には把握出来ない。
俺と面識がある中で現時点(2018,11)で残っていると判明しているのはバス団員、ギャル団員、団体設立者、司会団員である。
その中でもバス団員、団体設立者、司会団員の3人は団体設立初年度から居た古参であるので、この団体の実質的な中核としてはこの3人が挙げられる。
団体HPのメンバー紹介も上記以外の団員達が基本現れたり消えたりするのを繰り返す不安定な状態が続いている。

団体メンバー紹介
https://graduce.amebaownd.com/pages/1312499/page_201709301959

例の団体は東京周辺で活動をしている。
例の団体は定期的に実施するオフ会だけではなく、時々『勉強会』なるものを開催して集会している。
何をしているのかは謎であるが、定期的に実施している為彼らなりに意味があるものなのであろう。
アメブロを漁っていると新団員の書いたブログ記事を見つけた。
これはメンバー紹介で見掛けたあの最年長の団員のものであるらしい。

▼参考
https://ameblo.jp/graduce/entry-12391552132.html

30台後半ということもありそいつの風貌をおっさんと認定した。

『「健康な人よりも収入は少ないが、その分だけ残業もなく休暇もとりやすい」、「定期的に通院しているから、健康な人よりも食生活に気をつけられる」、「難病を抱えているからこそ、思いやりをもって他人に接することができる」など、自分の現状を肯定的に捉え、生きやすさを徐々に実感することができるようになりました』

それらはこじつけの様な気がするが。
牽強付会団員…と渾名を付けようとしたが、単に最年長団員と言った方が分かりやすいので畢竟そちらを採用することにした。
最年長団員はブログ記事では冒頭でよく自らが団体中最年長であることを名乗っていた。
他の団員の書いた記事では態々自分の年齢を書くようなことはない。
そこまで主張したいことなのか。
どうでもいいことだが。
最年長団員も他の団員と同様に彼らが謳う「生きづらさ」を昔経験したらしい。
最年長団員の場合は持病があった様だ。
他の団員には友人や母親の死があった奴がいる。
一方、特に彼らの様な危機に陥ったことはない団員もいる。
この様に団員には様々な境遇の奴がいる。
しかしながら彼らは共通して「生きづらさ」に対して似た様な思想を抱き、そして何だかんだ言いながら普通に社会生活を営んでいる。
社会に出ることすら儘ならない障害者や引き篭もりが彼らの中に加わることはない。
彼らの共通点としては更にコミュ力が普通にあり、友達も一般人程度にはいるということが挙げられる。
中3のネット廃人時代の俺であれば彼らをリア充と呼称しては彼らの「自分はリア充ではない」という態度に忿懣し、一晩で彼らについて数千字の文章を書き上げていることであろう。
俺は同じ本当の社会不適合者が何時しかオフ会に現れる時を期待している。




新橋からゆりかもめ線でお台場海浜公園駅まで向かった。
各車が分断されている構造であるらしい。
高い。
景色が良い。
最寄り駅に1時間以上早く到着した後、駅前のスーパーで飲料を購入。
近傍にあったお台場海浜公園に立ち寄った後、目的の港区立台場市民センターに到着した。
集会室の場所を確認する。
建物の1階、出入口から入って直ぐの場所にある。
当然未だ誰も来ている訳がなく、中は消灯されたままである。
建物の2階に上がった。
事前に調査した通りの図書館を発見した。
13時20分前まで勉強を続けていた。
集会室に入ろうとした。
メールやサイトには第1集会室であると書かれていたので入ろうとしたが扉が開いていなかった。
そこで別の入口から団員と思しき人間が声を掛けてきた。
入口は第2集会室側からであったらしい。
どうやら第1集会室と第2集会室を同時に使用している様だ。
中に入ると受付の人間に声を掛けられた。
バス団員がいた。
挨拶されたので軽く首肯する。

「私のこと覚えてますか?」

反応が薄かった為そう思われたのかもしれない。

「LINEが携帯替えたとき消えたので…」

バス団員はLINEの再交換を催促してきた。
LINEを交換することに意味は無いと考えたが拒否はしなかった。
バス団員は他の参加者ともLINEを交換していた。
他の団員でもここまで積極的にLINEを交換しようとする奴はいない。
単にLINEの友達の数を増やしたいだけなのか?
今のところこのLINEが使用されたのは社交辞令及びオフ会勧誘連絡用途でしかない。
あまり興味はないので気にしないことにした。
指定のテーブルに着いた後物理化学の教科書を読んで時間を潰した。
俺の隣の席にバス団員が座った。
時間になると説明が始まった。
いつも通り団体の説明から始まり、オフ会の概要を説明される。
団体の説明のスライドで現在の団員数が表示された。
12人。
いつの間にか1人増えていた。
次に恒例の自己紹介タイムが始まった。
周囲をよく見た。
男ばかりである。
そして誰が団員であるのかも分からない。
今回の参加者達は3回連続でオフ会に参加している暇な人間から初参加の人間まで色々と存在したが、特に特筆すべき人間はいない。
やや意識高い系の似た様な男達が一堂に会している。
既知の団員は団体設立者、バス団員、司会団員、保育士団員が参加者しているらしい。
他にも団員らしき女と男がいた。
誰が誰なのか分からない。
女は自分の名を述べた。
ホームページの自己紹介ページで見掛けた名前であった。
あのホームページには団員数は11人とあり、自己紹介の人数も11人であった。
自己紹介記事では女子は5人いた。
誰か1人が自己紹介記事を書いていないことになる。
新大学生団員と呼ぶことにした。
俺と同じテーブルにいる団員はバス団員の他、もう1人いたようだ。
そいつは先程俺が入口を間違えた時に声を掛けてきた団員であった。
入口錯誤団員と呼ぶことにした。
既知の参加団員は5人。
既知の団員の内、団体設立者、バス団員、司会団員、保育士団員は最初部屋に入った後に反応してきた。
団員の内情がよく分からない。
どうでもいいことだが。
自己紹介では俺は渾名を名乗り、夏行きたい場所に北海道を述べた。
よく見たら今回の一般参加者は男しかいないようである。
逆に女子は団員のバス団員と新大学生団員だけ。
女は2人とも若いが男には大学生位の奴から社会人のおっさんまでいた。
ここまで圧倒的に女子比率が少ないのは俺がこれまで参加したオフ会に於いて初めてであった。




自己紹介後、アイスブレイクに入った。
アイスブレイクとは毎回オフ会で本題に入る前に行う簡単なグループワークみたいなものである。
今回はいらすとやの「泣いている男の子」「泣いている女の子」「泣いている大人」「泣いている犬」が各々中央に印刷された白い紙に何かポジティブなオブジェクトを書いて付け足すというものであった。
俺は最後まで何も書かなかった。

アイスブレイク後、ワークシートを記入し、「ポジティブな話題」と「ネガティブな話題」を話し合った。
俺はバス団員に話を投げ掛けられたら頷いたりしただけで殆ど喋っていない。
休憩時間中も物理化学の教科書を読んでいるとバス団員が気にしてきた。
何読んでるのと訊かれたので無言で表紙を見せた。

「カラダの…化学?」

そう解答するのも確かに分かるが。
バス団員は読んでみたいと言ったので暫く貸した。
理解は出来なくても何となく読んでみたいらしい。
この1週間碌なことしていなかった癖にこういう時にしか勉強出来ない。
俺は試験期間前に時給1000円のバイトを休んでこの様なオフ会に参加することは合理的であるかを今一度考えた。
本来ならばこの時間はバイトのシフトがあった時間帯であった。
勉強よりもバイトよりもオフ会を選択するとは、俺は既にどうにかしているのかもしれない。
バス団員はふと突然俺に対して現在自分はフリーターであることを述べた。
入社して1年で疲れたので辞めたらしい。
バス団員は1年前に会った時とは違って眼鏡を掛けており、風貌が変わっていたのでもしバス団員であると最初に名乗られなかったら気づかなかったかもしれない。
指や肌の状態はあまり健康的とは言えず、至る所がパックリと割れているように見えた。
窶れて見えるのはその為であった。
…そこまで酷い会社だったのか?
社会人時代の清潔感はなくなったようだが、性格自体はあまり変わっていないようだ。

更に休憩を挟み、次に本題の「自分らしさ」と「生きやすさ」をワークシートに記入した後話すことになった。
例の通りグループ内で適当な順に発表していくが、何も浮かばない。
傍聴中、彼らの発言は耳には入ったが頭には入って来なかった。
「自分らしさ」とは何なのか不明である上に、生きやすさに関しては感じたこともない。
故に自分らしさが定まっていないと述べた。
そこでバス団員が先程同じ意見が出たことを述べた。
当然そんな覚えは全く無い。
前回も似たようなことを言われた気がする。
考え事をしながら話を聞く能力は生憎持ち合わせてはいないのだ。
思い付いたことをその場で話した。
事前に考えていた訳ではないので出任せである。
同じグループのバス団員と入口錯誤団員がワークシートにメモを記入していく。
熱心に発言内容を書いてくれているが、それらは全てその場の思い付きであるのが申し訳ない。

「何か達観してるね」

「達観してる」

グループの奴らから言われる。
他に何も思い付かなかっただけだ。
一番特異な意見であることは確かであるが。

「すごいよく考えているんだなあ…って思いました 」

バス団員が感心した様に言う。
どうしてこうなった。

その後は特に何を話すこともなく終了した。




今回のオフ会は特に何も語るべきことはない。
現在の団員の構成が気になった位である。
後日、いつものように気紛れで例の団体のブログを閲覧した。


https://ameblo.jp/graduce/entry-12392517803.html

最近は団体設立者ばかりが投稿しているようだ。
そういえば団体設立者は現在仕事がないと言っていた。
しかしブログによると再び9月からファイナンシャルプランナーとして働き始めるようだ。
ファイナンシャルプランナーの資格は勉強をしたことがあるが難しくはない。

『ボランティアは、常にいろんなことを「考え続ける」ことが大切です。社会と自分の関係、参加者と自分の関係、団体のメンバーと自分の関係、解決したい社会課題、そこに自分がどのようにどの程度関わるのか?』

聞くことによると例の団体は社会に対して影響を与えたいという目的があるらしい。
その団体理念がある為、彼らは自らを「ボランティア」と位置付けている様である。
この団体が実際に与えている影響はごく僅かで、ほんの一部の個人でしかないのは自明であることだ。
俺はこの団体に懐疑した。
2016年8月に設立された団体。
何故この様な団体が存在するのか。
この団体は何がしたいのか。
他にもこの様な団体があるのか。
殆ど社会に与えられる影響は無いのに何故活動を続行するのか。
オフ会に3回参加してもこの団体の真の目的が何なのかは未だ解明出来ない。
更に参加回数を重ねるか、アプローチ方法を変えるかしなければ究明は出来そうに無さそうだ。
下らないことを考えていると時間がいつの間にか過ぎてしまっていた。
今は試験直前であり何も考えている暇はない。
俺は長文を打つのを中断して勉強することにした。

オフ会Ⅱ:自己嫌悪編

2018年1月26日金曜日、大学の試験が全て終わった。

四日前に買ったエロゲも大詰めを迎えたところであった。

その日の夜、定期的なメールの確認を行っていた時にとあるメールがあることに気付いた。

 

お世話になっております。

昨年は私達のワークショップにお越しいただきありがとうございました。

直前のお知らせで恐縮でございますが、明後日1月27日(土)に今年第1回目の

ワークショップを実施することとなりました!

ご都合よろしければぜひ以下よりご応募いただけますと幸いです。

お会い出来ることを楽しみにしております。

activo.jp/articles/68604

どうぞよろしくお願いいたします。

 

昨年の夏の山の日にあの生き甲斐オフ会を実施した例の団体から来たようだ。

昨晩に届いたものであるが、恐らく直前になって数が足りず参加者を探しているのだろう。

昨年の秋にもこの例の団体はイベントを実施しており、俺はそれに参加申請はしたが当日はドタキャンして行かなかった。

それからバス団員からのLINEは一切来ていない。

ドタキャンで呆れられたからだろう。

その秋イベントの前にはバス団員がLINEで「参加しませんか」とイベント参加を勧めてきたりしたが。

正直に言うとLINEを広告利用されるのは煩わしい。

明日から春休みで、3月末まで学校は休みだ。

丁度暇だと思っていたところだ。

久し振りに参加してみよう。

俺は参加申請した。

2時間弱後、例の団体から確認メールが来た。

 

ご応募いただきまして誠にありがとうございます。

以下の通り詳細をお送りさせていただきます。

明日はお会い出来ることを楽しみにしております。

 

★ワークショップ名★

自分をもっと好きになろう 〜嫌いな所も視点に変えてみる〜

 

★日時★

2018年1月27日(土)13:30〜16:30

(13:20に下記会議室集合でお願いいたします)

 

★場所★

芝浦港南区民センター/講習室

www.shibaura-konan-civiccenter.jp/shisetsu/access.html

 

★当日に向けたご準備★

「自分の嫌いなところとその理由」について考えてきてください。

(紙などにまとめる必要はございません)

 

★持参物★

筆記用具、ノート、ご自身のお飲み物

 

★ワークショップの目的★

このワークショップは自分の嫌いなところや自分自信を否定してしまう

原因を書き出し、周りの人から違う視点の意見をもらい前向きに自分の

嫌いなところを受け入れる、というきっかけをつくる、又はそんな気持ち

を作る、という事を目的に行っていきたいと思っています。

 

★当日の流れ★

当日はグループに分かれてもらい、自分の嫌いなところを書き出してもらい、

頭の中を整理してもらいます。

その後に、一人一人グループの中で自分の嫌いなところについて話し合っていき、

その中で解決策や違う視点から話し合っていきます。

 

★その他★

1.当日はワークショップの様子を写真撮影させていただきます。

  原則お顔が映らないようにいたしますが、ホームページへの掲載等

  が難しい場合はその旨ご連絡いただけますと幸いです。

2.Graduceはホームページにて日頃の活動をご紹介していますので、

  ぜひご覧ください!

  graduce.amebaownd.com/

 

ご不明点ございましたらお気軽にご連絡ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

前日夜というイベント直前に参加申請したにも関わらず参加は出来るようだ。

次の日の朝、再び例の団体からメールが来た。

 

おはようございます。

本日13:30よりワークショップをおこないます。

ご参加をご希望いただき誠に嬉しく思います。

 

初対面の方とお話する機会ですので、緊張されるかと思いますが、

(私達も緊張しています…)ぜひリラックスしてご参加くださいね。

 

以下の場所はJR田町駅から少し歩きますので、ぜひお時間に余裕を

持ってお越しください。

 

芝浦港南区民センター/講習室

www.shibaura-konan-civiccenter.jp/shisetsu/access.html

 

それでは後ほどお会い出来ることを楽しみにしております。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

俺は彼らにもし前回ドタキャンした理由を訊かれたらどう答えるか考えた。

レポートが終わらなかった。

これで行こう。

そこまで個人のプライベートに突っ込まれはしない筈だ。

 

 

 

 


この例の団体『Graduce』は前回俺が行った時は団員は全てで6人であったが、この半年の間に新団員を募集し今は8人になっているらしい。

新しく入った団員は男女の2人であるらしく、団体のFacebookでその2人が自己紹介していた。

その内女の方の自己紹介を見るとあの夏のイベントに来た参加者の内の誰かであることが判明した。

あの時は女性参加者は2人しかいなかった。

それに加えこの苗字は聞いたことがあるような…。

因みにあの日会った奴の名前は団体設立者以外覚えていない。

団体のFacebookの写真を見ていると見覚えのある顔を見つけた。

一番左端にいるのはもしかして前回のオフ会で保育士であると述べた参加者か…?

だとしたらやはりその女性新団員というのはそいつ、即ち保育士団員であるのだろう。

保育士団員の隣にいるのはバス団員、その隣の男子は…知らないな。

もう1人いる女子は対面団員か…?

ホワイトボードの前に立っているのは団体設立者だな。

それにしてもあれからもまともに白米を食っていないが保育士団員には何か言われるであろうか。

 

 

 

 


寝落ち仕掛けたが幾重にも仕掛けた目覚ましのお掛けで時間通りに出発出来た。

品川駅から山手線に乗り換え次の駅の田町駅に下車した。

電光掲示板を見た。

芝浦港南区民センターはどちらの出口にあるか書いてあるくらいには知名度があるらしい。

案内に従って駅を出た。

Googleマップを起動して前日マークしておいた場所に向けて歩く。

少し歩いた後に公園に辿り着いた。

公園に隣接した場所に芝浦港南区民センターは存在した。

13時前に到着し芝浦港南区民センター内へと入った。

オフ会は13:30開始、13:20集合とのことだ。

時間まで待合スペースに座って待つことにした。

迷うのを見越して早めに来たので仕方が無い。

椅子の脚が短いのでスマホを見る為に腰をかなり曲げなければならなかった。

腹痛がした。

大便だろうか。

こんな時に厄介なものだ。

オフ会はこの建物1階の講習室という場所で行われる。

この建物の施設は前回の生き甲斐オフ会の時の食事処の部屋と同じ様に、決めた時間を予約して利用するというものらしい。

講習室に行くには談話スペースの傍らを通らなければならない為、参加者達は俺の姿を視認することになる。

俺はスマホで英字新聞を読みながら時間を潰した。

13:20頃になり講習室にそろそろ行こうかと考えた瞬間、少し離れた場所から声を掛けられた。

司会団員と…予想通り、保育士団員が居た。

 

「覚えてる?」

 

司会団員は笑いながら訊いてきた。

渾名を覚えられていた。

前回来なかったことに関しては何も触れられなかった。

司会団員は今日はバス団員は来ていないことを言った。

何故そのことを態々俺に話したのかは分からない。

前回一番よく話していたからかもしれない。

 

 

 

 


司会団員と保育士団員に講習室に案内された。

司会団員が率先して中に入り、保育士団員が内開きの扉を抑えていてくれた。

軽快なBGMが掛かった部屋の中には既に人が何人かいた。

 

「コートはここに掛けていいよ」

 

拒否をすると驚愕された。

部屋の中では上着は脱ぐものだという固定観念が彼らにはあるのだろう。

適当に寒い等という理由を付けた。

 

「大丈夫なの?暑くない?」

 

本当は着脱が面倒だっただけだ。

司会団員達は気を利かせて部屋の温度を上げようとしていた。

暑い。

俺はコートとネックウォーマーをしたまま講習室内を歩いた。

 

「あそこに座ってもらえる?」

 

自分の座る席は指定されているらしい。

団体設立者の隣席だと言われた。

しかし座った途端に司会団員から席が違うと指摘された。

どうやら団体設立者の座る場所が間違っていたらしい。

付随的な問題で席の誤謬を引き起こした俺は改めて正しい席に着いた。

この部屋にはテーブルが3つあった。

前回と同じ様にテーブル毎にグループを分けるのであろう。

このテーブルには未だ俺の他には1人の女子しか居なかった。

時間があったのでスマホで英字新聞を読んでいると近くにいた司会団員から訊かれた。

 

「英語読めるの?」

 

無理に気に掛ける必要はないのだが。

俺は1人で放置していてくれた方が心地良い。

逆に気が散るので邪魔をしないでくれ…等とは口に出して言えない。

彼らは名目上多様性を認めてはいるが理解は出来ていない様だ。

 

「俺英語読めないからうらやましい」

 

話し掛けられて集中出来なくなったので俺は一旦スマホから目を離した。

同じテーブル席の対面にいる女子は先程から何もせず手持ち無沙汰にしている。

丸い顔をしており、大学生位に見えた。

丸顔参加者は先程から疎外感を感じたりしないのかと思った。

団員達は一般参加者とは対等に関わる訳ではなく、専ら複数回参加者とよく関わる傾向にある。

俺だったらそんな内輪的空気があったら物凄く帰りたくなるであろう。

ふと入口から入ってきた一般参加者が受付で名前を訊かれていたのを目撃した。

そういえば今回俺は団員達に名前の確認もされていないと思った。

団員達に覚えられたら自己申告は必要無いということか。

 

「これに名前かニックネームを書いてください」

 

恒例なのか、暇そうにしていると前回でも配布されたのと同じ名札入れと紙が配布された。

勿論首に掛けずに放置した。

13時30分になったが1人だけまだ来ていなかった。

数分後最後の1人が遅れて講習室に入って来て俺の隣に座り全員揃った。

 

 

 

 


全員集まったところでスクリーンが動き出した。

 

「皆さん今回は忙しい中お越しいただきありがとうございます」

 

司会団員がスクリーンを進めながら話して行く。

 

「『Graduce』は『gradation』と『duce』から─────」

 

例の団体の簡単な紹介、今回のオフ会の主旨を10分程掛けて発表した。

次に早速グループワークに移る…という訳にはやはりいかなかっ た。

司会者を交代し別の女性の団員になった。

先程少しばかり絡んできたが知らない奴だ。

周りと比べて見た目からして派手であり、ギャルの様にも見える。

ギャル団員は次の説明を行った。

全体で自己紹介を行うことになった。

どうせ各テーブル毎で分かれてグループワークを実施をするのだから全体で自己紹介をするのはあまり意味は無いであろうが、口を挟む余地はない。

講習室には机の固まりが3つあり、各々に5人、4人、4人と振り分けられていた。

俺のいた場所は5人グループであった。

 

今回の自己紹介は名前、出身、今ハマっていることの3つを発表することになった。  

最初に司会者のギャル団員から自己紹介をした。

やはり他と比べて派手な印象である。

女団員の中では1番コミュ力が高そうだ。

次に一番端っこの席の司会団員が自己紹介をした。

前回から知っている人。

痩せた感じの陽キャ団員。

次に司会団員の隣の知らない男子が自己紹介をした。

どうやら彼も団員の1人であるらしい。 

次に幸薄そうな顔の参加者が自己紹介をした。

 

「学校でボランティアを何かするという課題が出されたので、今回このボランティアに参加しました」

 

これはボランティアとは違うような気がするが…。

3番目の問いには小説を読むことと答え、幸薄い印象付けに拍車を掛けた。

次に幸薄参加者の隣の男子が自己紹介をした。

ポケットに両手を突っ込みながら流暢に話すカリスマ性がありそうな一般参加者。

この4人は講習室に入って右奥のテーブルの席であった。

 


次に俺のテーブルの団体設立者が自己紹介をした。

俺が名前を唯一覚えている人。

眼鏡を掛けている高身長の団員且つ団体設立者。

次に団体設立者の隣の丸顔参加者が自己紹介をした。

 

「なにかボランティア活動をしたかったので─────」

 

丸顔参加者も幸薄参加者と同じ様なことを言った。

だからこれはボランティアと言えるのだろうか。

次に団体設立者の対面の男子が自己紹介をした。

少し根暗の雰囲気がある一般参加者。

 

「ボランティアを─────」

 

根暗参加者までもが幸薄参加者と丸顔参加者の2人と同じ様なことを言った。

次に根暗参加者の隣の俺が自己紹介を行った。

何人かの団員が笑った。

そういう内輪的な雰囲気を作るのは止めた方が良いと言っておろうに。

この4人とギャル団員の5人は講習室に入ってすぐ近くのテーブルの席であった。

 


最後に3つ目のテーブルに座る奴らが自己紹介をした。

俺が先程最初に間違って座っていた席に座る参加者。

今回が二回目であり連続参加である一般参加者。

見た目からして一言でおっさんと形容できる一般参加者。

そして保育士団員。

この4人は講習室に入って左奥のテーブルの席であった。

 


以下、団員について述べる。

どうやら今回来た団員は5人いるようだ。

各々のグループにも上手く分けられている。

事前に参加者達の座る席を決めるのもこれを図る為であろう。

先述した通り、この前回から今回までの間に例の団体は団員数を6人から8人に増員している。

前回のオフ会に参加した団員は5人、未参加団員は1人。

今回のオフ会に参加した団員は5人、未参加団員は3人。

以下、今回の一般参加者について述べる。

今回の一般参加者数は前回より1人増えて8人。

一般参加者の中で一番話せば仲良くなれそうなのは幸薄参加者だろうか。

何となく保護欲が湧く程度には幸薄さを放っている。

おっさん参加者は衝撃だった。

まずこの手のイベントは団員達もそうだが、参加者も20代が殆どなのだ。

確かに参加条件は「大学生若しくは社会人」であり中年男性も参加が可能であることは見越していたことだが、実際に20代だらけの集団内で見掛けることになると途方も無い違和感を感じるものだ。

カリスマ参加者と連続参加者は雄弁でよく語る。

こんなところにいないでその能力をさっさと社会で生かした方がいい。

幸薄参加者と丸顔参加者と根暗参加者の3人は何かボランティアを行う為に応募したと明言した。

彼らも恐らくは俺と同じくアクティボ等のボランティアサイトを彷徨している時にこれを見付けたのであろう。

ボランティアサイトにある為にこのイベントもボランティアの一種だと思い易い。

この団体の団員になることなら一種のボランティアになるかもしれないが、只の一般参加者としてこの様なイベントに参加するだけでは所謂ボランティアと言えるボランティアではないのではないかと考えられる。

以上男子8人、女子5人の13人が今回イベントに参加することになった奴らであった。

 

 

 

 


自己紹介後、各テーブル内で簡単なミニゲームをすることになった。   

前回では思想強制ゲームを行ったが、それと目的は同じ様なものであろう。

 

「─────最後の人は難しいかも」

 

俺はふと意識を外していてミニゲームの説明を全て聞き流していた。

説明の最後の難しくなる人がいるという言葉だけは辛うじて聞こえたので俺は何とかそれが回避出来る様に懇願した。

俺の意を汲み取った団体設立者が俺からやることを提案し、グループ全体もそんな雰囲気になった。

しかしこれから何をするのか全く分からない。

 

「じゃあ好きなもの何か言って下さい」

 

ギャル団員が言った。

本当に一体何をする気なのだ。

戸惑いつつ何とか回答すると団体設立者とギャル団員が次の奴が何をするか説明していく。

次の順番であるらしい根暗参加者も相応に困惑していた様子であったので説明を聞いていたとしても最初から理解しにくいものであったのだろう。

 

「好きなものは?」

 

「野菜炒めが好きです」

 

「野菜炒め限定?生とかじゃなくて?」

 

俺は特に回答に何も突っ込まれなかったことに安堵した。

団員達には前回説明したので疑問には思われなかったのだろう。

根暗参加者が意を決した様に言った。

…何を言っているのかと思った。

次に団体設立者が喋る。

漸く自体を把握した。

つまり「○○が好きな○○の隣にいる、○○が好きな○○の隣にいる、─────○○が好きな○○です」と順に覚えて言っていくゲームであるようだ。

確かにこの具合だと最後のギャル団員は一番難しくなりそうだ。

俺は全く覚える気がなかった。

ミニゲーム終了後小話をした。

現在の大学の話になった。

丸顔参加者は演劇系、根暗参加者は福祉系のところに通っているらしい。

丸顔参加者は22歳であり、根暗参加者は21歳であるらしい。

尤も、丸顔参加者は一浪しているので学年は2人共に3年であるらしい。

団体設立者が来年から就職で忙しいね、グループディスカッションが大変だよ、等と話した。

ギャル団員も現役大学生であるらしい。

 

「俺も大学生です」

 

「ウソでしょwwwww」

 

即ちここは団体設立者以外の全員が学生のグループであった。

 

「これからタメで普通に話さない?」

 

団員達が提案した。

しかし一般参加者達はそれ以降も丁寧語を使用した。

話に一切加わっていなかった俺もそこで当然の様に話を振られた。

空気のままで良かったのに。

俺は年齢を訊かれた。

 

「私もハタチです!」

 

右隣のギャル団員が反応した。

ギャル団員が話しているのを見るとそこまでギャルというような雰囲気でもないかと考えた。

バス団員や対面団員、保育士団員は俺の大学にいてもおかしくなさそうな外見ではあるが、ギャル団員は俺の大学内にはあまり居なさそうな外見である。

一応バス団員、対面団員、保育士団員は社会人であり、ギャル団員は大学生である為、これは身分差というものであろうか。

社会人ではあまり派手な装いは出来ないのであろう。

しかしギャル団員自身もそこまでけばけばしいギャルという訳でもない。

話している分には十分普通の人間の様に思えた。

 

 

 

 


一枚のワークシートが全体に配布された。

一番上に自分の嫌いなところを書く欄があり、その下にその理由を書くスペース、更に下には気付いたことを書く欄があった。

気付いたことを書く欄は嫌いなところを書く欄よりも2倍程大きかった。

嫌いなところより改善点や好きなところを多く見つけて欲しいと示唆しているのであろうか。

嫌いなところを書く欄は思い付くことを適当に書き出してしまえば直ぐに埋められてしまう程度の大きさであった。

各自集中して書く時間になった。

15分もある。

どうせ碌なことは書けない。

俺は数分で書き終えた。

暇を持て余す。

トイレの志向を希望した。

 

「いいですよ。トイレの場所分かりますか?」

 

ギャル団員が返答した。

実のところ場所はまだ分からないが説明する手間を掛けさせるものでもないであろう。

トイレ如き自分で探せば良い。

そう思いながら席を立ち上がり部屋の扉の前に立ち扉を開けようとした。

しかしドアノブが上手く回らない。

試しに引いてみてもガタンガタンと音が鳴るだけ。

引いて駄目ならということで押してみてもやはり暖簾に腕押し状態であった。

 

「ああ、それはねー…私も最初開けるの3分くらい掛かった」

 

ギャル団員が立ち上がり近くに来てドアノブに手を掛けた。

 

「ちょっとコツがいるのこれ」

 

何だその途轍も無く不便な扉は。

普通のドアノブの様に取っ手を下に回すのではなく、上に少し回したところで引いて開けた。

仕組みが丸で分からない。

お礼を言って部屋の外に出た。

待合スペース前を歩きながらトイレは何処にあるか見渡す。

直ぐに視線の先にトイレの看板を発見した。

トイレに入った際団員とすれ違った。

何故かすれ違った時に挨拶してしまった。

スマホの時間を見た。

14時15分。 

講習室に戻る。

外からは扉は普通に開けられた。

自分の場所に戻り座る。

他の奴らは熱心に欄を埋め尽くすまで書いている。

団体設立者が先程から部屋内に掛かっていたBGMを止めた。

真面目な雰囲気にしたかったのであろう。

まだ時間が残っていたので他の奴らを観察した。

丸顔参加者とギャル団員は350mLサイズの暖かいお茶を机上に置いていた。

どちらも普通のお茶だ。

別のテーブルを見る。

連続参加者はリプトンのレモンティーを、幸薄参加者はトロピカーナのオレンジを机上に置いているのが見える。

持ってきている飲み物の選択にも性格が反映されているような気がした。

 


時間になり順に発表することになった。

別のグループでは誰から発表するかジャンケンで争っていたが、このグループでは団体設立者が自ら先陣を切った。

左回りに実施することになった。

 

「左回りってどっち?」

 

「自分から見て左でしょ」

 

団体設立者、丸顔参加者、ギャル団員、俺、根暗参加者の順に発表することになった。

発表時間は15分。

1人辺り3分か、どう話をまとめて話そう…と考えていたところ、1人辺りの時間が15分であったことに後に気付いた。

ギャル団員がセットしたストップウォッチが5分毎にピピピッと音を鳴らす。

団体設立者は要約すると人と話す時に考え過ぎてしまうこと、飽きっぽい性格であることを話した。

俺と同じ様なものだ。

 

「孤独は好き?」

 

団体設立者が全員に問い質す。

丸顔参加者は場合に依ると答えた。

根暗参加者は成る可く人に合わせたいと答えた。

ギャル団員は逆に一人になりたいと答えた。

俺は孤独は好きだと答えた。

 

「そうなんだ」

 

「すごい」

 

全員少し驚いた様な、感心した様な表情をする。

 

「どうして?」

 

一人だと自由に何でも出来るからだと尤もらしく説明する。

 

「いいなー、羨ましい!」

 

ギャル団員が羨望の眼差しで見てきた。

孤独にその様な感情を向けられたのは初めてである気がする。

 

「私もね、一人の環境を作りたいんだけどなかなかできなくて。だからうらやましい」

 

一人になる方法は至って簡単だ。

誰とも関わらなければ良い。

ギャル団員の発言は今の俺には何も感じなかったが、聞く人によっては物議を醸すものであるだろう。

本当に自分が嫌いな奴はこんなところに来る前に自殺をするか引き篭るかをしている。

これは前回と同じである。

彼らは他人と会話する程度の精神的余裕はあるのだ。

その後、団体設立者は初対面では話せるが2度目以降会う度に何を話せば良いか分からなくなるとも話した。

団体設立者は今度また海外に行くらしいがその行動力があれば何でも出来る気がする。

実際に就職して働いているし、この様な団体も設立している。

前回の時に俺は彼らの悩みについて「贅沢な悩み」だと言ったが、この自分の嫌いなところというのは老若男女問わず誰でも思い抱えていることであろう。

上には上がいるが、下にも下がいる。

しかし不幸とはその本人がそう感じるからこそ存在し得ることであり、相対的なものではないとも聞いたことがある。

トラウマとはその本人があると感じるからこそ存在し得ることだと、この前アドラー心理学について調べていた時に学んだ。

「嫌われる勇気」について、前回では読破せずに自分に合わなかったと俺は適当に感想を述べた。

「嫌われる勇気」とはアドラー心理学についての本であるが、Amazonレビューでは大絶賛されていた。

ふと思い立って批判意見を調べてみたところ案外あることに気が付いた。

絶賛ばかりのAmazonレビューにもよく見ると批判的なレビューが少なからず存在していたようだ。

 

★☆☆☆☆辛くなりました。

 

投稿者mi2017年7月16日

 

自分の生い立ちに未だ悩まされている30代です。

 

社会に出るまではいわゆる良い子でした。

親の顔色を伺いながら、自分を殺し、否定し、生きてきました。

子どもの頃に子どもらしく生きることが出来ませんでした。

学生時代まではそれで通用してきたのですが、

社会人になる段階でつまづき、以来社会の波に乗れず、転職を繰り返しています。

 

病院に行くほどではないと自分では思ってはいますが、日々強烈な生きづらさを感じています。

そろそろ本気で変わりたい。変われるかもしれないと、救いを求める気持ちからこの本を手に取りました。

 

しかし……3分の1ほどを読んだところで、物凄く辛い気持ちになっていることに気が付きました。

 

なんていうか、階段の上から突き飛ばされて、骨が折れて痛いのに、「その痛みは自分で選びとっているのだ」「突き飛ばされたのも自分で選んだことなのだ」と言われているような……。

 

もしかしたらその先に救われる内容が書いてあるのかも知れません。

でも、私は読み進めることが出来ませんでした。

 

トラウマなどない……それが事実なら、どんなに良いでしょう。

それなら、PTSDに苦しむ人などいなくなりますよね。

 

これは心理学の本ではなく、ただの自己啓発書だと思います。

心の土台が健やかな人が、更に自分を高めるための本。

 

本格的に心が疲れている人が読むと、余計辛くなります。

 

173人のお客様がこれが役に立ったと考えています

 

どうやら調べたことをまとめるとアドラー心理学とはアドラーという人が鬱の自分を戒める為に作った考え方であるという。

ある程度余裕がある人間にとっては良い薬になるが、本当の鬱状態にある人間にとっては合わない考え方であるらしい。

鬱の人間がアドラー心理学について簡易に述べた「嫌われる勇気」を読むことによって更に症状を悪化させることもあるようだ。

自分の考え方は間違ってはいなかったと知って安堵した。

 

 

─────と考え事をしていると話を振られた。

話の内容を聞いていなかった。

全員黙って答えを待っている。

一体何を訊かれたのか全く分からない。

畢竟適当に答えた。

それで無事話は流されたようだ。

急に話を振られても困る。

丸顔参加者も要約すると考え過ぎてしまうといった団体設立者と似た様なことを述べた。

丸顔参加者の発表が終わると10分の休憩に入った。

休憩後にギャル団員が発表した。

ギャル団員は自分は完璧主義ではない完璧主義であると述べた。

分かりにくいがつまりは自分を嫌い易いということだ。

今年の成人式は故意に海外に行っていたとも告発した。

そこまで地元に居たくなかったか。

外見に見合わずあまり友達がいないと明言しているのは少し驚きではあった。

 


到頭俺の順番が回ってきた。

発表する前からどう説明するか脳内でシミュレーションしていたが、実際に発表することになるとしどろもどろになった。

自分も彼らと同じく考え過ぎたりすることを述べた。

 

「それ私も言いました」

 

全く聞き覚えがない。

考え事をしていて聴き逃したのだろう。

 

「昔から自分についてそう思っていたの?」

 

俺がこうなった要因は説明すると長くなるのでどうやっても彼らには正確に伝えることは出来ない。

ここは一言当て嵌る適当に思い付いた理由を述べることにした。

概して碌でもないことを話した。

彼らはそれらの説明で漸く俺の孤独の意味を理解したようだ。

一通り話し終えるとギャル団員が俺に代わり自分の過去の出来事について語り出した。

長く語ってくれるお陰で余りの持ち時間で俺が話さなくて済む。

ギャル団員も中学時代は周りの女子達から標的にされていたというらしい。

 

「女子はすごい陰湿だよー」

 

「ホントですよね!」

 

「だよねー?!」

 

丸顔参加者とギャル団員が共感し合っていた。

確かに女子のいじめは特に精神的に追い詰めるスタイルに長けていると思われる。

俺もその経験者だ。

 

「そういえば今私と同じ歳だったよね?この前の成人式は行った?」

 

ギャル団員の外見と内情のギャップが大きい。

いじめの経験について語る一番意外な人間であった。

 

「私も成人式行ってない!同じ仲間!」

 

ギャル団員は激甚に共鳴する様相を呈した。 

そんなに歓喜することであろうか。

まあ確かに、如何にもリア充っぽい奴が成人式に行かないとは裏に何か事情が在りそうだ。

結局話が途切れ途切れになってしまった気がした。

残り時間も5分を切っていたので話を纏めることにした。

そんなところで俺の発表は終焉を迎えた。

言いたいことはある程度言えたとは思った。

 

「他のところはもう終わっちゃたから雑談していて下さい」

 

今の4人目の発表で他の2グループは全員の発表を終了した。

しかしこのグループだけ5人グループであるので再び15分時間を取ったのだ。

最後に根暗参加者が語った。

周りが騒がしかったからか真剣な雰囲気は感じられなかった。

 

 

 

 


根暗参加者終了後、ギャル団員が再び前に出て司会を行った。

ギャル団員が最後に締めの言葉を言った後、前回と同様に各々が今日の感想を言っていくことになった。

一般参加者の中では連続参加者とカリスマ参加者の感想が特に長かった。

話す内容に質と量の両方を伴っていた。

あれくらい俺も咄嗟に考えたことを流暢に話してみたいものだ。

因みに俺は数秒で終わった。

全員の感想発表後解散となった。

今回はスマホ交換タイムは無いようで、一般参加者達は各々帰宅準備が終わった奴から部屋から出て行った。

俺は何となくテーブルに座り続けていた。

気付くと講習室の中には団体設立者ともう1人の男団員とギャル団員と俺しか居なくなっていた。

団体設立者ともう1人の男団員はテーブルを元の位置に動かす作業をしていた。

俺が座っている所為でこのテーブルが戻せないのではないかと思慮した。

話しているとやがてギャル団員が立ち上がったので俺も立ち上がる。

俺達が使っていたそのテーブルも元の位置に動かされる。

俺も椅子を渡したり仕舞ったりして少しだけ手伝った。


「これで合ってるの?」


「どうなってたっけ」


団員達はテーブルの初期配置を忘れてしまったらしい。

俺はスマホでこの建物の公式サイトを見た。

講習室の配置図が載っていた。

ギャル団員に無言で近付きそれを見せた。


「うん。これでいいみたい。ありがとう!」

 

俺はその後も部屋内に居続けた。

帰っても何もすることが無いのだ。

17時前になって再びギャル団員が声を掛けて来た。

出入口まで送っていくというらしい。

早く出て行けと言うことか。

俺は渋々立ち上がりギャル団員に先導される形でその場を去った。

オフ会Ⅰ:生き甲斐編

2017年7月、ネットで適当に検索していると「activo」というボランティアサイトに辿り着いた。
ある日、そこで一つの新着記事を見付けた。


https://activo.jp/articles/67354

『「生きづらさ」を抱えている人が自分自身の「生きがい」の発見、再認識をします』
タイトルの特定の言葉に思わず反応した。
他のボランティアと同じ様に適当に応募だけしておくことにした。
後日、その「生きづらさ」とやらのボランティアの団体からメールの返信が来た。
8月の山の日に水元公園という場所に集まり軽い運動、各自持参の昼飯を食った後会議室的な場所で三時間程談話グループワークを行うというオフ会を行うらしい。
イベント参加者募集文面の詳細、団体の理念や代表者、団体のFacebookを一通り閲覧した結果、「彼ら」はどの様な集まりであるのかを把握した。
実際に行かなくても記事やFacebookを見るだけで自ずと判明するものであった。
ネット上には過去のオフ会のものと思しき集合写真や、オフ会当日の内容について会議を行いながら団員達で集い飯を食っている写真が上がっていた。
どの写真を見ても何にも行き詰まることなく普通に生活が送れていそうな人間しか写っていない。
表立って顔に出していないだけかもしれないが、風貌は正にリア充系といった感じである。
文面も見れば絵文字等を使った今時の所謂リア充にありそうなものだった。
彼らは傍から見れば十分に「リア充」と呼べる立ち位置の人種であるように考えられた。
「生きづらさ」等は1人で考えればいいものだが、態々知り合い他人を問わず集団を集うこと自体がリア充が行いそうな所業であるのだ。
他人の意見を仰ぐことも間違ってはいないが、彼らは最初から他人に頼る腹積もりしかなさそうであった。
オフ会詳細の当日の集合から解散までのスケジュールを見たが、表向きに「生きづらさ」を語るだけで内情はリア充達による突発オフの一種なのではないかと考えられた。
寧ろ「生きづらさ」は人を集めオフ会を催す為の只の口実なのではないかと推論しさえした。
これまでオフ会とその団体について述べて来たが、実は俺は行く気を失うどころか寧ろ興味が沸いてきていた。
この様な露骨なリア充の為とでも云うべきオフ会に集まって来るのはどんな人種の人間であるのか気になったのである。
もしそこに来るリア充が「生きづらさ」等を感じるのならば、一体何が生きづらいのか一聞する価値があった。
直前に送信されたメールを参考として以下に示す。

お世話になっております。

いよいよイベントまであと1日となりました。

以下2点ご確認頂けると幸いです。


1、イベントの際の写真撮影についてです。当日、Graduceの活動記録として写真を撮らせて頂きたいと思っております。
写りたくない方は、写真に写らないよう配慮致しますので、このメールまたは当日にお教えください。


2、当日の集合時間・場所・持ち物

【日時】
8月11日(金)山の日

【集合時間】
 9:30

【集合場所】

JR金町駅 南口

(10分前を目途にお越しください。当日は会場の水元公園までバスでの移動になります。9:40発のバスを予定しています)


【会場】
水元公園


【持ち物】
・バス運賃往復用440円

・動きやすい服、靴(広場にてちょっとした運動をします。汗をかくため必要な方は予備のTシャツをご用意下さい)

・お弁当(当日は全員でお昼を食べます。コンビニ弁当等でOKです。)

・飲み物(公園にて購入もできますが、自販機まで距離があるためご用意下さい)

・暑さ対策グッズ(当日は猛暑が予想されますので、日焼け止めや帽子があると良いと思います)

・お菓子(当日みんなでシェアしましょう)

・筆記用具(午後の内部イベントで使いますが、こちらでもご用意するのでなくても大丈夫です)

・タオル


都合によりキャンセルの場合は、当日11日の8:30までにご連絡下さい。


それでは当日一緒にお話しできることを楽しみにしております!よろしくお願い致します。

Graduce 





当日になっても昼夜逆転生活は直らず、一睡もしないまま朝2本目の電車に乗って集合場所の金町駅まで赴いた。
当日は雨が降っていた為、外での運動はなくなると思われた。
常磐線に乗り換えた時に間違って快速に乗ったり、反対方向に行くものに乗ったりして予定よりも30分ほど遅れて金町駅に到着した。
7時半に金町駅南口から出て徒歩30秒のマクドナルドに入り、集合時刻9時半まで勉強をしながら待機した。
8時過ぎから雨が止みだした。
このままでは運動が行われてしまう見込みがある。
2階に取った席からは窓越しに駅の入口が見えた。
ここからでも集合場所の状況確認が出来るようだ。
集合時刻の9時半になってから俺は金町駅南口に赴いた。
メールには『9時40分発のバスに乗るので早めに集合10分前の9時20分位には集合してください』とあったが、待ち時間に話を振られると面倒なので敢えてギリギリの時刻に集合した。
二時間前とは異なり人通りが多くなっていた。
彼らは何処に集まっているのか辺りをそれとなく見回した。
すると駅南口前に若い大学生位の集団が横に並んで立っているのが見えた。
今回の集まりには社会人も来るらしいが、全員大学生だと言っても違和感は無いくらいに若い奴しかいなかった。
このオフ会の名目上若い奴が多いのは見当が付いていることではあったが。
あれが例の団体であるのかと目星を付けた。
立ち止まって彼らを一人ずつよく見ると『Graduce』と書かれた紙を持った人間がいた。
今日のオフ会を開催した例の団体の名前であった。
これにより彼らが関係者であることを確信して近付いた。
彼らの前に立つと名前を聞かれた。
本名を答えると到来したことを認識され、同時に感謝された。

「今日は来て下さってありがとうございます」

恐らく団員の一人であると考えられる若い女性が話しかけてきた。
女性とは言っても大学生か社会人かは釈然としないが身長や顔付きから大人っぽさは感じないあどけない印象を受ける。

「ここまでどれくらい時間かかりました?」

その女団員は参加者を省かない様にする配慮する為かよく話し掛けてくる。
その内愛想を尽かされ相手にされなくなるのだろうと思いつつも適当に受け答えた。
2時間位前から近くにいたことを報する。
先程までいた飲食店舗マクドナルドに指差して言うと、傍で話を聞いていた団員達にも驚嘆された。
傍聴していた団員らしき若い男性が言った。

「意識高いな~」

そいつも十分若く大学生に見えた。
恐らく今回のオフ会に集くのは大学生と新社会人だけなのであろう。
そのまま女団員による質疑応答は続いた。

「何時に家を出たんですか?」

5時と回答すると更に団員達は驚愕した。
俺が集合したのが最後だったのか、俺が集合して数分した後集団は早くもバス停に向かい始めた。
9:40発のバスに乗るらしいのでもう行かなければならないというらしい。
集団の列の一番後ろから付いて行こうとすると先程の質問攻めの流れでか、先程の女団員が隣に付いてきた。
一人で歩こうとしたが勝手に隣を歩いて付いて来る様だ。
他人と足並み揃えて歩くのは何時振りであろうか。
女団員は何か話そうと試みようとしたこともあったが、俺相手には長い時間は持たずに無言の間が多く続いた。
俺より前を歩いている多くの奴らは既に楽しそうにワイワイと対話していた。
一応彼らも全員初対面の奴らである筈だが全員馴染みやすい性格であるのか、静謐が保たれているのは列の最後尾を歩く俺と女団員の組だけである様であった。
団員と一般参加者の割合は分からないが、恐らく何人かの団員達が同様に一般参加者達に話し掛けている形を取っているのだろう。
俺はその後も隣の若い女団員との間の気不味さを誤魔化したりせずにそのまま静寂を貫いた。
コミュ障は無理に話そうとする方がボロが出易い。
隣の女団員が先程みたいに詰問して来ないのは相手が質問に困惑することを考えて気遣っているからとも考えられるが、寧ろ女団員は隣で話す人間が嫌で変えようにも流石に今露骨に話す人間を変えるというのは相手への失礼に値すると思い離れるのを我慢しているのだろう、と考えた。
間違って面倒な奴を話す相手として選んでしまったことに後悔しているに違いない。
そんな隣の奴が些か不憫だと思われた為、少し気になることを訊くという名目で俺は静寂を打破してやった。

「そうですね…8人位応募したんですが、1人まだ来てないんですよね」

何人応募したのかと訊くと女団員は屈託無さそうににこやかに返答した。
先程までの無言の間は気にしていないようだ。
物好きの暇人が8人も居るらしい。
俺もその暇人だ。
団員達は一見リア充っぽいが例の団体は『生きづらさ』について会談するという主旨の集まりであるらしいので内面については一抹の期待は抱いていた。
尤も外面だけ見ると誰も生きる上では辛さ等は感じていなさそうな顔触れであった。

「あそこにいる…」

「────」

「あ、今あそこで喋ってた人が団体のリーダーですね」

確かにネット上に掲載されていた画像で見覚えのある顔だった。
あれが当該団体設立者であるのだろう。

「皆さんは正直『Graduce』は何をしている団体なのか全く分からないと思いますが───」

「ですが今回は『生きづらさ』というよりは、そこから更に発展して『生きがい』を話し出すということに───」

今回集まった一般参加者は俺を含め7人。
男性が5人、女性が2人である。
団員と合わせると合計男性7人、女性5人の総計12人が今回のイベントに参加する奴らであった。
バスに入り運転席を通過しようとすると運転手に止められた。

Suica持ってます?」

俺の後ろから一緒に入って来た先程の団員が言った。
どうやら先払いのバスだったらしい。
俺は最後の方に入ったので、バスの後部座席は既に彼らで占領されていた。
俺が空いている二人席の窓側に座ると先程の女団員も当たり前の様に隣に座った。
念の為に酔い止めを忘れたことを報告する。

「あ、ありますから大丈夫ですよ~」

酔い止めの薬があるのかと思ったら隣の女団員…改め、バスで隣の席になった団員、通称バス団員はビニール袋を手に持って示した。
そこに吐けと申すらしい。
俺はバスに乗ると吐き気を催す体質であるのだ。
成る可く外を見る様にしていたが、今回はそれ程気分は悪くならなかった。

「先払いか後払いか分からないことありますよね」

先程のことをフォローしてくれているのかもしれない。
適当に返答した。
変に構えない方がスムーズに話せることは既に学んでいる。
その後はバス団員に訊かれたことから俺が今日5時台の電車に乗ってやって来た件から、普段大学のある日も4時起き、4時間睡眠であること等を話した。
バス団員は関心しなから対話を繰り広げようとしてくれた。
俺は声が小さい為騒がしいバス内では一層声が聞こえ辛い。
バス団員は努力したようだがそれでも相手が俺では間が持たなかった様であり、俺とバス団員のところだけ到着まで長らく沈黙が続いていた。
一方バスの後部座席からは乗車している間談笑の声が絶えず聞こえていた。
初対面でよくあれだけ打ち解け話せるものだと思った。
バス団員は俺は見た目からして真面目な人間だと言った。
俺と出会った奴は決まって「雰囲気が他の奴と違う」と言う。
そう思われる程の特徴的な顔付きをしていることは自他共に認められていることである。





数十分後バスの中ドアから降車した。
水元公園という、東京都内では珍しい大きな自然公園内でオフ会を行うことになっている。
入園して直ぐ歩いた所に食事処があった。

「一見ここはただの食べる所に見えるかもしれませんが、実はこの建物の右側、集会所みたいな所があるんですよ。後ほどここに集まるのでここの場所を覚えておいて下さい」

通称司会団員が言った。
どうも今回例の団体を仕切っているのは団体設立者ではなく、一団員の男性であるらしい。
団体設立者は他の団員と同じ様に一般参加者と会話しているだけで何か特別な役割をしている訳では無い為、案外印象が薄く感じた。
そこから10分程歩いた。
グループワークを行う為の広場まで向かっているらしい。
歩いている途中、俺は両端を団体設立者ともう1人の一般参加者に挟まれる形になった。
もう1人の一般参加者は眼鏡を掛けていた。
通称眼鏡参加者は大学1年であると語った。
その後は眼鏡参加者と団体設立者がそのまま俺を挟む形で対話を続けた。
俺は会話に参加していない。
人を間に挟んで会話され続けるのは鬱陶しいことこの上ない。
間にいる人間のことをナチュラルに意識していないのだろうか。

「昼ご飯持ってきた?」

「持ってきました」

今回のオフ会における昼飯は各自持参となっているが、俺は昼飯を食わないことに決めていた。
俺は普段とは違う環境で昼飯を取るとなると食欲が失せる体質であるらしい。
少なくとも7年前の時からその体質は変わってはいない。
一応リュック内に朝に突っ込んだランチパックが転がっているが、食う気は今のところ無かった。
すると突然彼ら2人は当然の流れかの様にそれまで黙っていた俺にも昼飯の話を振ってきた。
何故それだけピンポイントで巻き込んでくるのか。
あまり昼飯持ってきていないと正直に言うと、途端に団体設立者と眼鏡参加者は驚いた反応をする。
昼飯が無いことは彼らにとっては余程重大な問題であるらしい。
そこまで生きることに執着している訳では無い為、最近では俺はすっかり睡眠や食事は疎かになっているのだ。
団体設立者はそれを先頭を率先する司会団員にチクる。

「昼飯持ってきてないなら俺のおにぎりあげようか?」

司会団員が言った。
元々最初から昼飯を食う気は無かったが、無理に好意を断るという行為は控えることにした。
昼食は全員で集まって取るらしく、空気を読まないと更に厄介な事態になり得ることが想定された為である。
久し振りに人に「気を遣った」。
薄々こうなることは分かっていたが、やはり話すことではなかった。

「ここが最寄りトイレとなります」

そろそろ目的地に到着する様だ。
最寄りトイレが見える近くの草原の広場に彼らは入って行く。
司会団員が巨大な青いレジャーシートを取り出し、男を中心とする奴らが広げるのを手伝っていた。
一部の女子は手伝わずに静観している。
俺も手伝おうとしたが、彼女らと同様に静観することにした。
手伝わなくても文句は言われないだろうと推察したのだ。
広げられた巨大な正方形のレジャーシートの角の端っこに自分の荷物を置いた。
20人用のレジャーシートらしいので全員が座っても余裕があった。
十数分程のトイレ休憩後、自己紹介から始めると司会団員が言った。
少し驚くべきことに休憩中も彼らの中にはスマホを弄る奴は一人もいなかった。

休憩が終わって最初にグループ分けをされた。
事前に団員達によって決められていたらしい。
4人グループが3つで余りなし。
グループで固まる為に他の奴らは移動を始めた。
俺はレジャーシートの角に座ったまま不動を貫いていたが、周りに他の3人が集まって来たので動く労力を使わずに済んだ。
俺から見て右側にバス団員が座り、左側に眼鏡参加者、対面にもう一人の知らない女性の団員が座った。
この4人で正方形を作る様な位置に向かい合って座った。
眼鏡参加者やバス団員は先程まで多少話したこともあったので妙に安心感があった。
それから次に首掛け付きの名札入れとマジックペン、名札入れに丁度入る大きさの紙が配布された。
隣の眼鏡参加者からマジックペンを手渡しされた。
ニックネームを書いて首に下げて今日一日中過ごせというらしい。
日本語を使うと字が汚い奴だとバレるので英語を使って誤魔化すことにした。

「何て読むの?」

俺のネームを見たバス団員が言った。
読み方を答えるとバス団員は納得した。
対面に座る人物こと通称対面団員も同じ様に感嘆した様相を呈した。
バス団員と対面団員は外見は普通の女子大生に見えるが、二人共に社会人であるらしい。
眼鏡参加者だけは現役大学生であったので同じグループに居て安心感があった。
様子を見ていてこのイベントに参加する人間の割合は大学生よりも社会人が多いことに俺は気付き始めていた。

それから司会団員が今日のイベントの実施内容、この団体について口頭で説明した。

「皆さんこの団体は一体何なのかよく分からないと思いますが─────」

「まだ出来てから1年くらいの団体で─────」

「今日は多様性を尊重して─────」

意外と長い。
次いでに団体設立者も少しだけ話した。
やや眠くなった。
事前にどの様な主旨のオフ会や団体であるか調べていた上に、今日興味があったのはオフ会そのものではなくオフ会に来る人間の人柄であったこともあったので割と全て聞き流していた。

次は自己紹介を全員順番にやっていくらしい。
自己紹介には当然良い思い出は何一つ無い。
今回はどうやら自己紹介のテーマが事前に決められているらしい。
自分の名前、先程決めたニックネーム、出身地、今年の夏行きたい場所、今までに行っていて良かった場所、の5つだった。
言うことがある程度確定されているというのは話しやすい。
自由に自己紹介をしろと言われたら何を何処から何処まで紹介すれば良いのか分からなくなるものだ。
実を言うとこの時まで俺は未だ彼らは普通のその辺にいるリア充かと思っていた。

「今年はオーストリアに行きます」

「おおーっ」

海外旅行や留学をしたことがあり、これからもする予定だと言う奴らが1人や2人ではなく何人も居たのだ。
彼らは只のリア充ではなく、意識高い系の集まりであったのだ。
確かに何かを考えるということは意識が高くなければしなさそうだったのでその場で納得した。
やがて到頭俺の番が回って来たらしい。
レジャーシートに座る位置はバラバラなので誰から回っていくのかよく分からないまま、俺はその場に立った。
先程団体設立者や眼鏡参加者と話した時もそうだったが、俺は既に幾つか嘘を吐いていた。
他人に心配されない様にする為だ。
それでも咎められない様に表面上取り繕うのは面倒臭い。
自己紹介が終わった後、早速4人で談話するのかと思ったが違ったらしい。

「連想ゲームしたいと思います」

談話前の緊張解しとして参加者の共通点を探して親睦を深める為に行うらしい。
先程分けた4人グループ3つではなく、一旦別の6人グループ2つになってから行うらしい。
決められたグループの6人で集まり歪な六角形を作る形になった。
お題一覧が書かれた紙が各グループに配布された。
『コンビニといえば』『夏の食べ物といえば』『100円ショップといえば』等のお題が箇条書きになっていた。
かなり題数がある気がしたが、全て読むまでやるらしい。
連想ゲームとは「○○といえば?」と誰か1人が言い、全員が「せーの」と言って連想したものを同時にいうというものであるらしい。
お題は1人ずつ順番に読んでいくと決められ、俺にも6回毎にお題を読む仕事が回って来た。
6人答えを一斉に言うというということで騒がしくなる為、声の小さい俺は彼らに何度も聞き返された。
『面白い芸能人』というお題で「はんにゃ」と回答すると昔の芸人の名前を出すよな、みたいな顔をされた。
小学校時代の未だテレビを見ていた頃の記憶を頼りにしたのだ。
最近の芸人や流行りの曲は知る由が無い。
『夏の曲といえば?』というお題が出た時には司会団員は全員それを知っているので答えられるのは当たり前だと言わんばかりの発言をした。

「夏の曲といったらあれしかないでしょ」

「うん」

「皆分かるよね」

「アレだよね」

「これは全員そろうの行ける?」

「やっぱあれだよな。あれ。作者忘れたけど」

「んんんんんんん!」(人名を伏せて言ったのだろう)

「ああ!」

「うん!そうだね!あの人だった!」

全く共感が出来ない。
1人だけ置いてかれている気分。
俺には彼らが何を連想しているのか想像が付かなかった。
しかし知らないとは言える雰囲気ではない。
自分らの常識を世間の常識の様に思うのは止めてくれと思った。
俺が世間から自ら離れていったのもそれが煩わしかったからだ。
畢竟何も思い付かなかった俺は何も言わずにいることにした。

「夏の曲といえば?」

「せーの!」

「少年時代!!」

全く予想だにしていなかった回答が示された。
俺は発声すらしていない為、当然司会団員達には聞き返される。

「聞こえなかった…なんて言った?」

俺は同じ奴を想像していたと言った。
そう回答することが彼らに最も満足感を与えるであろう。

「だよね」

この思想強制ゲームは何時まで続くのかと終わるまで思い続けていた。
やはり人間とは関わるものではない。
初端から精神を磨り減らす連想ゲームが終わった後、2グループの全員の答えが揃ったお題数を比較した。
向こうは0回、此方は2回だった。
因みにその全員揃ったお題は『東京といえば──東京タワー』『発明家といえば──エジソン』だった。

(ここでスカイツリーとか言ったら当然の如くKY扱いされるんだろうな…)

(普通の人間が瞬時に発想する発明家とは何だ…?)

イベントが始まって間も無く「自分の判断を棄却し相手の思想に否応無く賛同する」という典型的な協調的行為を求められた。
他人に協調するという行為には苦痛しか感じない。

「発明家なんてエジソンしか分からなかったよ」

バス団員等がそう言っていた。
余計に深いことを考えない方がこの団体内ではやっていけそうだ。

連想ゲームが終わった後一旦トイレ休憩を挟んだ。
日向に不満がある人が多かったのでそこでレジャーシートを木陰のある林の下まで移動させた。
涼しくはなったが先程よりも地面が木の枝や石等で凸凹しており、レジャーシートの座り具合が悪くなり、座ろうとすると小枝が尻に食い込んできた。
俺が少し場所をずれるとバス団員が変わりにそこに座った。
そこまで気を使う必要は無いのにと思った。
今度は先程最初に決められた4人グループに戻ってグループワークをするらしい。
本題の「生きづらさ」を感じることについて4人で語れという。
先程と同じく右側にバス団員、正面に対面団員、左側に眼鏡参加者が見えるような位置に4人が座り談話が始まった。
バス団員、対面団員、俺、眼鏡参加者の順番に「生きづらさ 」を感じている点について語った。
各々1人ずつ数十分位語る時間が振り分けられ、語り終えたら他の3人からの質問タイムになった。
他の奴は何分間も止まらずに話していたが、俺の自分語りタイムは10秒位で終了した。
各自の発言を要約すると、友達がいるリア充でもオタクでも誰でも普段は表面上現さないだけで心の中では人間関係に悩みを持っているということだった。
彼らのものは十分に贅沢な悩みだと笑い飛ばせる内容である。
本当の底辺からはふざけるなと怒られるかもしれない。
尤もそれらの話は全て想定内の発言だったので少し聞いていて退屈になった。

「人に合わせるのは大変ですよね」

俺は彼らに賛同意見のみを示した。
同じく彼らの中にも反対意見を出す者は存在せず、只管肯定のみの談話になっていた。
反対意見は出してはいけないという暗黙の了解があるような雰囲気であったのだ。
彼らの語ったことは要するに、学校や職場で普通に友達や知り合いはいるが距離感を図りかねているということだ。
俺は友達がいないことを暈しながら先に発言していた対面団員等の意見を参考にして話した。
俺が語る時だけはやはり誰も何も話さない沈黙の時間が定期的に到来した。
彼らみたいに間が保てるようにぺらぺらと次から次へと語ることが出来ないのだ。
俺は自らが友達作りに失敗した高校や大学の新学期を思い出しながら話した。
今更蒸し返すのも野暮なものである。
他の奴が思っていることを逐一要約してくれるので、俺はそれに賛同しておくだけで済んだ。
彼らは外面は普通のリア充ながら、人間との距離感等という内心では俺と同レベルのことを考えていたらしい。
もしかするとここに集まっている他の奴も似たような感じであるのだろうか。
最近こそ俺はそれすら考えるのを止めてしまっているので、悩みを持っている彼らを見ると一昔前の自分を見ているような気分になった。
友達がいるって大変そうだな…と俺は終始他人事の様に思っていた。
俺は人間関係に悩んだ末にぼっちで生きることを選択したので、最近ではその問題すら発生しなくなったのだ。
俺の様に「人間関係に悩む位なら最初から人間と関わなければいい」という選択肢は当然彼らには無いのだろう。
このイベントに来る奴らが持って来るのは何れも現実がある程度充実しているからこそ認識を成し得る悩みであろう。

「─────さんって優しいんですよね」

どうやら俺が相手のことを思い過ぎて自らの行動を制限する様子から見てそう思われたらしい。
今迄にも何人か他の奴にも同じことを言われたことがある。
1度や2度位しか会っていない他人が俺から受ける印象はそうなるらしい。
俺の中では毎回それは単なる臆病や優柔不断としか判断していないので実感が湧かない。
そもそも他人と関わること自体を一切放棄している今の俺にはそう呼ばれる資格すら無いと思った。
「1人でいる時が一番落ち着く」「相手に合わせるのが酷」「人に嫌われるのが嫌」等と俺が何かその類の発言をする度に彼らに賛同された。
悉く彼らは昔の俺の面影に重なってくる。

「昔嫌われる勇気って本あって、私それ読みました」

バス団員が言った。
俺も読んだことがあると報告した。
かつて意識の高い高校担任教師にしょっちゅう読んでみろと押し付けられていたのだ。

「どんな感じの本でしたっけ」

全員無言になった。
俺に訊いた様だ。
どうやら俺が本の感想を言わなければならない雰囲気であるらしい。
適当に哲学的な内容だったと言った。
バス団員もそんな感じだったかと言った。
どうやらバス団員はちゃんと読んでいるようだ。
俺は未だに全ては読み終えていない。
3年前に半分も行かないところで止めて以来放棄していた。
その本『嫌われる勇気』はAmazonのレビューでは評判が良く、意識が変わったとか、革新的な本だとか色々賞賛されていた。
高校担任教師だけではなく高校担任教師がよく自慢話に出していた東工大だかに行ったOBも読んでいたという啓発本である。
あの本を評価する人もいるだろうが、俺には意味がなかった。
見聞を広めるという点では啓発本を読むことは良いことなのだろう。
しかし啓発本1冊如きで生き方が変わるというのも問題だ。
簡単に生き方が変わってしまっては、そいつはその程度の人生しか歩んで来なかったということになるのだ。

「周りは気にしないで自分の思ったことをすればいいって感じでしたよね」

バス団員があの本の要約をした。
人なら社会に出れば誰でも少なからず嫌われるものだ。
リア充でもオタクでもぼっちでも、どんなにいい奴でも嫌われない奴なんていない。
そう発言しようと思っていたが、止めた。
ここは人間社会で生活を送っていれば誰もが思う様な悩みについての只の温い慰め合いの場所であったことを悟ったからである。
本気で困り悩んでいる奴はこんなところにはやって来ない。
畢竟そんなことを考える精神的余裕と時間的余裕がある奴だけが来ているので、言うだけ無駄であるのだ。




思ったよりも体感時間は短く談話時間は終わった。
トイレ休憩を挟んだ後に軽く運動…もといフリスビー投げを行った。
やはり俺の前後が一番授受失敗数が多かった。
俺は極度の運動音痴であり、バスケットにボールを入れたことが無ければ、テニスボールを返せたこともない。
これで漸く彼らからも呆れられるであろうと思った。
しかし彼らは俺の失敗数については表向きには咎めなかった。
失敗が多いからか、途中で右回りに変更された。
俺が足を引っ張っていることに変わりは無かった。

「手首だけでなげるんだよ」

フリスビーの投げ方があまりにも下手糞だったようで対面団員等に指摘された。

「お!よくなってきたよ!」

「うまい!」

「やっぱり学習能力あるね」

「あ、今の投げ方優しい 」

「すごい!片手で取った!」

上手く受け渡しすると対面団員やバス団員に言葉に出して褒められた。
下手糞が普通になるのを賞賛されても惨めな気持ちにしかならないのだが、彼らはそんな当人のことは考えてはいないだろう。
フリスビー投げが終わると高揚した対面団員が近くにやって来た。

「すごいうまくなってたよ!」

上手くなっていた、ということは前は下手だったということであろうか。
他人に言われてもあまり嬉しくは感じない。

その後は昼食の時間になった。
昼食は全員でレジャーシート上で取るらしい。
飯くらい好きな場所で食わせてくれ、と言えるような雰囲気ではない。
全員が全員集まって飯を食うのは当然のことだという如く反駁者は誰もいない。
何故こうもリア充は誰かと飯を食いたがるのか。
お茶だけリュックから出していると対面団員が傍にやって来た。

「おにぎり梅とシャケがあるけど、どっちがいい?」

どうやら対面団員が本当に昼飯を分けてくれるようだ。
俺が昼飯を持ってきていないという話は団体設立者や司会団員だけではなく対面団員等にも伝わっており、先程の午前中のグループワーク時に対面団員が昼飯を分ける約束を申し出てきていたのを思い出した。

「連想ゲームの時も『おにぎりの具といえば』でシャケって言ってたもんね!はいじゃあこれ!」

コンビニで買ったらしい鮭おにぎりを手渡された。
それから次に司会団員がやって来た。
司会団員も先程昼飯の分け前をする旨のことを言っていた。
おにぎり要るかと訊かれた。
彼らの世界には昼飯を食わない人間は存在しないのだろうか。
餌付けをされている気分だ。
見ず知らずの他人にそこまで気を使うことも無いであろうとも思った。

「全員そろったらいただきますして食べよう」

「まだ食べちゃダメ。全員そろってから」

司会団員が全体にそう言い放った。
多様性を持つことは認めるが協調性の放棄は認めないというのが彼らのスタンスであるらしい。
全員で一斉に戴きますと言い、一時間もの昼食休憩が始まった。
昼食後は先程公園に入った時に見掛けた食事処に13時半に集合、それまではどこに行っても自由だという。
最初から昼食場所を自由にすれば色々な場所にも行けるし良いのにと思った。
分け与えられたおにぎりを成るべくゆっくり食べたが、どれだけ遅くしても3分もしない内に食べ切った。
手持無沙汰になりお茶を飲むしかなくなった。
他の奴だと弁当を持ってきている奴が多い。
対面団員等はコンビニで買ったものを持ってきていた。
眼鏡参加者はカロリーメイトのゼリーだけ飲んでいた。
リア充達の食事は会話も挟むので余計に時間が掛かるものである。
朝起床して飯を食ってシャワーを浴びて身支度整えて家を出るのに30分も掛からない俺にとっては昼飯一時間という時間が非常に長く感じた。

「さっきのフリスビー投げでさ」

司会団員達が先程のことについて話し出した。
司会団員は俺の両端に居た参加者2人が特に頑張っていたことを名指して賞賛した。
対面団員も俺の両端に居た2人が俺によって滅茶苦茶な投げ方をされたフリスビーも取っていたと賛同した。
ファインプレーだとか一番頑張っていたとかと団員達による賞賛の嵐が2人に降り注ぐ。
俺への当て付けであろうか。
間接的に煽られている様にしか聞こえない。
その後も彼らは何かしら話し続けていた。
会話は止むことは無かった。
「自由時間」と言っていたので手持ち無沙汰な俺はリュックからタブレットを取り出し勉強を始めた。
誰も話は振ってこなかった。
昼食時間を一時間も取ったのは畢竟彼らが会話を繰り広げる為でしかないのだろう。
昼食が終わり誰かが菓子を取り出すと次々と別の奴がまた菓子を取り出していった。
妙に持ってきている奴が多いと思ったら、そこで事前に来たメールには菓子を持ってくるように書いてあったことを思い出した。
話し合いの時間等でシェアする為に必要であったらしい。

「遠足みたい」

と、その言葉を心に浮かべる前に他の奴が言った。
本来の目的が遠足なのではないのかと錯覚するには充分な程のイベントを彼らは既に提供してくれていた。
1時15分頃になるとレジャーシートにいた彼らは片付けを始めた。
どうやら今からレジャーシートを畳んで集合場所の食事処に向かうらしい。
レジャーシートの片付けに熱心な参加者がおり、団員達からは度々感謝されていた。
彼らは笑い合う。
こんな奴らが一体人生の何に生きづらさを感じているのかと再び思った。




最初公園に入って来た時に見た食事処に戻って来た。
到着したのは丁度集合時刻の13時半だった。
食事処前には既に先に行っていた奴らが何人か屯していた。
彼らは全員が一堂に会したのを確認すると食事処に入って行った。
入口から入って右に曲がったところ直ぐにその部屋は存在した。
この部屋は事前に予約することで使うことが出来るらしく、今回は時間内で貸切にしているという。

「また4人に分かれて話しましょう」

一般的なオフィスの会議室的な場所で全員で議論する様なものを想像していたが予想とは違った。
少人数グループ内で各自意見を行っていくのが彼らのやり方であるらしい。
先程の午前中のグループワークと同じ4人に別れるのかと思ったら、それとはまた別のグループに別れるらしい。
今度俺と同じグループになったのは対面団員の他、知らない団員と知らない一般参加者の3人だった。
机の上に次々と様々な種類の菓子が盛られていく。
全員でも食い切れない程の量の菓子が机中央に置かれた。
更に各々には紙の小皿が配布される。
これに菓子を取って移して食えということだ。
勿論食欲は依然として湧かない。

「皆さんには『モチベーション曲線』を描いてもらいます」

全体に資料が配布された後説明が始まった。
モチベーション曲線という言葉自体は今までに聞いたことがなかったが、名称が違うだけで既に俺の知っているものであった。
モチベーション曲線とは横軸を時間、縦軸をモチベーションの高さにして描くものであり、0より上はプラスのモチベーション、0より下はマイナスのモチベーションとなっている。
つまるところその時期に依る度合いを曲線にして表現してモチベーションの変化を解りやすくした代物である。
昔「人生満足度のグラフ」を書いたことがあったが、それが今言うモチベーション曲線と同質のものであったのでどうも既視感があった訳である。
それ故モチベーション曲線を書く時間が与えられた時に俺は10秒程で出来上がり、他の奴らが書き終わるまで10分程暇になった。
部屋には静寂が続き、外の鳥の囀りが聞こえるだけだった。
他の奴らは随分真面目に書いているようだ。
同じ班の3人のものを一瞥するだけでも、余白に吹き出しを加えて説明書きまでしたりして丁寧に一つの完成品として仕上げているのが分かる。
他人に見せてプレゼンするという点では彼女らのようなものが相応しい。
対して俺は簡素に曲線を一筆で書いただけである。
単に文章にして説明したい内容ではないのでそこのところの説明書きは一切を省いていたというのもあったが、あまりにも雑であるので遣っ付けであると思われてもおかしくない。

「話したくないことは無理に話さなくてもいいです」

と司会団員は言った。
やがて時間が経ち全員出来上がると、一定時間の区切りを入れながら順番に描いたモチベーション曲線について説明していくことになった。
俺の向かい側に座る知らない方の団員が最初に発表した。
その団員が話し終わった後、他の二人が次々と発表内容に対して質問をした。
俺は一言も喋らなかった。
話に付け入る隙も技術も俺にはないのだ。
それ故終始黙って聞いているだけだったが、偶に話を振られたりはした。
ずっと女3人で話し込んでいたのに思い付いた様にこちらに話し掛けてくるのは困るので止めて戴きたい。
数十分経った後10分の休憩になった。
気付くと他の3人は菓子を幾つか食っていた。
俺だけ未だ何も食っていない。
しかし机上中央に置かれた菓子は依然と食い切れない程の量があり殆ど減っていないかのように見えた。

「─────さんの奴気になる」

「私も気になる」

団員達は机上にある俺のワークシートを見ては休憩中度々そんなことを言っていた。
彼女らは10秒で書き終えた俺のモチベーション曲線が気になっているらしい。
本当に碌でもないと説明しても彼女らには冗談の様にしか聞こえないようだ。
大体話して気持ちのいいものでもない。

「─────さんの発表楽しみですね 」

俺の順番になったらどうなることやらと思った。
次にモチベーション曲線の説明をしたのは俺の隣に座る対面団員だった。
対面団員の発表も終わった辺りで俺は倦怠感を感じて来ていた。
先程の発表中も1Lの茶のペットボトルをしきりに飲んでいた。
昨日オールナイトしたのだ。
俺は休憩時間中に机に伏した。
団員達に眠い理由を訊かれたので適当に勉強していたと回答した。
どうやら俺はいつの間にか真面目な人間のイメージが付いたらしい。
先程俺にも話を振ってきた時に、勉強は趣味や興味本位でやっていることは話したりした。
それがどういう訳か彼らにとっては羨ましいものであるらしい。
俺からすると勉強よりも友達作りやグループワークの方が滅法難しい。
それらが自然に出来る方が社会を生きる上で余程幸福な人間であることに彼らは気付きはしないのだろう。
各々のグループ内で4人の内2人の発表が終わり、グループワークも後半戦に差し掛かったところだった。
午前中のグループワークでも俺はそこまで話してはいないにも関わらず疲弊していた。
彼らは喋ることに慣れている為あれだけ話し込んでもそれ程体力を消耗しないのであろう。
喋るだけで疲れるなんて奴は俺位の人間である。
次に発表することになったのは俺だった。
先ず書き上げたモチベーション曲線を机中央に置いた。
説明書きの一切無い1本の粗雑な曲線の描かれた紙面。
先程司会団員が話したくないことは話さなくても良いと言っていたので、それに従うことにした。
中学の暗黒時代は俺自身もあまり語りたくない。
語るにしてもどう語れば良いかも分からないものである。
グラフに指を差しながら「色々あって」と暈して現状に至るまでを細切れに語った。
食欲も失せて半年で15kg落ちたと言うと、それまでは誰も口を開いていなかったが漸く感嘆詞を呟く奴が出て来た。
流石にそれはまずいと暗示しているようだ。
粗方話した俺はそこからは自分から語らず彼女らの質問を待った。
やはり沈黙の時間が多い。
米を食ったのは3日振りだと言うと、同じテーブルの彼女らだけではなく隣のテーブルの団体設立者達もそれを聞いて驚愕した。
飯を食わない程度のことがそんなに驚くべきことか。

「それはやばい」

「何か食べた方がいいよ」

「健康不足…」

「眠気覚ましにこれとか食べよう」

「これも!」

それを聞いた彼らは矢継ぎ早に俺の取り皿に菓子を溢れんばかりにドサドサ置きだした。
大量の菓子の山が目の前に出来上がった。
寝不足に食欲不振。
そんな不健康な奴がいると彼らは見てはいられなくなるようだ。
彼らの様に普通に毎日三食白米を食べられるのはまだ心身共に健康である証だと考えた。
生きる目的を見失うと生命活動の基本である食べることすらしなくなることを俺は知ったからだ。
最後に発表をしたのは俺から見て右斜め向かい側に座る一般参加者の女性だった。
話を聞いていて判明したことは案外彼らも俺に劣らず『不幸』な人生を歩んでいることであった。
何れも等しく哀れまれる可きものであるのだろう。
後の生活に響く後遺症の面では俺の様に恒常的に人間不審に陥ったり等はしてはいないものの、彼らも精神的に著しく衰弱していたのは事実であろう。
このオフ会にやってくるリア充達は案外裏事情がある奴がいるとは思っていたが、どうやらその通りであったようだ。
見た目や雰囲気こそはそこら辺にいるような活気のあるリア充であるが、負の過去をものともしない剛胆さを持っているのだろう。
俺も過去の記憶自体はもう引き摺ってはいないが、性格が変化したままなのはどうにもならない。
誰も責任は取れないのだ。
より精神的な頑健さを保持出来る彼女らに対し艶羨はしなかった。
生まれ持った環境が元々違うものを幾ら崇め奉ってもその行為に意味はありはしないのだ。
運悪く底辺になったら底辺として生きていく他はない。




話している最中に食事処のおばさんがやってきた。
予約指定時間が終わったという。
彼らは全員話を切り上げ、司会団員が話は出来たでしょうかと軽く締めた後に片付けに入った。
テーブルを元の配置に戻し、間も無く食事処の外に出るらしい。
俺は食事処から出る前に一旦トイレに寄ることにした。
トイレから出た後先程いた部屋の中を覗いたが既に誰もいなくなっていた。

食事処から出ると俺が出たのが最後だったらしく、立ち止まっていた彼らは忽ち場所を移動した。
幾つかの長椅子が正方形を囲み成す様に並んだ場所に集いた。
司会団員が今日の感想を一人毎に言って貰うと言った。
左回りに発表していくことになった。
他の奴のスピーチ時間が長い。
何をそこまで話すことがあるのだ。
バス団員も団員の一人だからか特に話す時間が長い。
即興で感想を思い付きながら長々と話すことなど俺には不可能であった。
俺の感想タイムは僅か10秒程度で終わった。
オフ会上のブログラムではこれで終了であったが、直後アンケート用紙が全体に配布された。
この場で書けと言うらしい。
無記名ではなく実名記入欄有の質問書であった為、低い評価は付け辛かった。
書く土台がない奴にはバインダーが幾つか配布された。
俺はタブレットを下敷きにして書いた。
アンケートを書き終わった後はバス団員に提出した。

「ありがとうございます」

アンケート用紙が回収された後はその場にいた一般参加者達は他の一般参加者と集まってLINEの交換を始めた。
すると伝染してその場全体がLINE交換の空間になった。
自然と、そうなるのが当たり前であるかのような流れでそうなっていた。
やがてバス団員が近づいて来て俺にLINEの交換を申請してきた。
バス団員は他の一般参加者達にもLINE交換を個別に申し出ていた。
そこまでしてLINE交換に熱心になる理由はあるのか?
その後は他の奴らの様子を観察した。
男女別に別れてLINE交換会を開催しているようだ。
男性一般参加者4人と司会団員が集まり5人でLINEを交換している。
女性一般参加者2人と先程食事処で同グループだった女団員2人が集まり4人でLINEを交換している。
バス団員と団体設立者の2人は何か会話をしている。
俺は1人でスマホを弄っていた。
勿論、当然のことながら、俺とLINEを交換する奴はその後には現れなかった。
最初に会った時から気に掛けてくれたバス団員以外、誰も話し掛けても来なかった。
つい先程まで午後のグループワークで話していた対面団員や大学生団員も近くにいる俺を気にする誼も在りはしないようだ。
グループワークでは少なからずの共感は得られたものと思われる。
彼らも同じ様な悩みを抱えているのなら、関われば何れ親しくなるに違いない。
そう、彼らとなら…と一瞬思い掛けたが、最後になって彼らとは明確な距離感があったことに気付かされた。
俺が人と馴染む為の時間は人一倍必要とされる。
俺はそんな簡単なことすら忘れていのだ。
同期がいれば必然的に俺以外の奴の方が仲良くなることになる。
俺が学校で集団の中にいても孤独を感じていたのもそれが原因である。
畢竟同じことを思っている奴がいても、住む世界が異なっていれば交誼を結ぶことも能わないのである。
そうして俺は「いつも通り」自ら身を引くことになった。
LINE交換が一通り終了した後、そこで司会団員から解散の合図がなされた。
バス停に全員で向かった。
バス停に着いた彼らは立ち往生していた。
次のバスが来るのまで時間があるらしく、彼らは歩いて次のバス停に行くことにしたようだ。
俺はそこでバスを待っても良かったが、この際成る可く早く帰りたかったので次のバス停に向かう集団の一番後ろに付いていくことにした。
当然のことながら、そこのバス停でバスを律儀にも待ち続ける奴は居らず全員徒歩で次のバス停へと向かっているようだ。
解散とはいいながらも、実質的には未だ全員で固まっている状況だった。
歩いていた歩道は人がギリギリ2人横に並んで歩ける程度の狭さだったが、他に人は居なかったのでこれだけ大挙して歩いても問題は無いようだ。
前を歩く彼らは楽しそうに和気藹々と話で盛り上がっていた。
気付くと俺の隣にはバス団員が歩いていた。
今朝に初めて会った時のことを思い出した。
あの時も今と同じく集団の一番後ろを歩きながら2人で気まずく沈黙していたのだ。
畢竟何を生き甲斐にして生きればいいのかと俺は最後にバス団員に訊いた。

「難しいですよね」

バス団員は長い時間沈思黙考した。
相当考え込んだようだが、出て来る答えはやはり、

「色んなことを試してみるとか…」

自分で見付けなければならないということに終着した。
彼の団体、そしてバス団員に最後の期待を託していたが、それも到頭終焉を迎えるようだ。
畢竟俺にとってこの団体から得られる利益は存在しない、という結論に至った。
俺とバス団員の組の前には一般参加者2人が話しているのが見えた。
この様なオフ会に来たということは彼らは元々一定以上の社交性は持ち合わせていたのであろう。
他の一般参加者と直接的な関わりが殆ど無かったのは俺だけであるようだ。
確かに今日特に話した人間はバス団員、対面団員と団員ばかりであった。
一般参加者とは全くと言っていい程会話しておらず、一言か二言言葉を交わした程度である。
団員達は一般参加者に対して気を遣って関わってきていることを考慮すると、今日は実質的には誰からも殆ど絡まれていないということになる。
いつも通りの当然の帰結であると考えた。
どこにいても俺は一人になることには変わりはないようだ。
次のバス停に到着した後、バスに乗車した。
金町駅に到着し、朝の集合場所であった駅南口前で解散した。
男の一般参加者達はこれから全員で飲み会に行くらしい。
当然そこに俺は含まれていない。

「これから晩ご飯食べにいきます」

「そうなんだ!いいなー」

「俺達もこの後集まるだろ」

「打ち上げというかミーティングだよね」

団員達5人もこの後何処かの飲食店に集まってオフ会の反省報告会をやるらしい。
一番最初に女性の一般参加者が早くも挨拶をした後1人でそそくさと駅の中に歩き去って行った。
その後に男性一般参加者4人が団員達に最後に挨拶をすると打ち上げ場所を求めて去っていった。
いつの間にかもう1人の女性の一般参加者も居なくなっていた。
そうして一般参加者は俺以外には誰も居なくなり、俺はどの道1人で帰宅することに変わりはないようであったので敢えて帰らずにその場に残っていた。
暫くした後、駅の中から食事処で同グループであった女性の一般参加者が出て来た。
解散から随分時間が経っていたが、まだ帰らず何処かにいたらしい。

「そろそろ行く?」

司会団員が団員達に言った。
彼らも到頭この場から解散するようだ。
それを見計らって俺もその場を去った。

次の日に唯一LINEを交換していたバス団員から社交辞令メールを受信した。
成る可く形式的な文面を考えて返答作業を行った。